国民は菅政権に強い力を求めているのか? 「強権の日本史」から
改選全メンバーの任命保留
6人の学者の任命を拒否したことに対する説明がないことは変わらない事実である。常識的に考えれば、政権の方針に反する意見を排除するという印象は避けねばならない。 思い切って、今回改選の全メンバーの任命を白紙に戻すことはできないか。拒否ではなく保留である。そして改めて選抜したメンバーを再任命することである。国鉄をJRに分割民営化するときに全員を解雇して再雇用したのと同じである。その際、選抜における業績評価と推薦の方法をこれまでとは変えることが望ましい。幸いにも会員の半数は残っているし、少し時間をかけても実害はほとんどないと思われる。その上で改めてこの組織のあり方を議論するべきだろう。 学問とは、権威を積み上げることではなく、常に真実を「問いかける」ことであり、科学とは、現実に照らして認識を進化させることである。欧米のアカデミーを根拠に日本学術会議を擁護する人がいるが、科学や芸術の近代化過程において、アカデミーの保守性は、むしろ革新側の論者によって批判されてきたのだ。 こんがらがったときには「白紙に戻す」というのは、常に一つの良策ではないか。最近はどうも、日本そのものが、特に公的制度が、こんがらがっているような気がする。