大企業とはこれだけ違う…日本人の「賃金値上げ」、企業間格差は今後なくなるのか…はたらく人を守る「連合」会長にその現在地を聞いてみた
立場が変わる制度はおかしい
石破政権が掲げている“最低賃金1500円”の評価についても聞いた。 「まず1500円の根拠が示されないので、示してほしいと思っています。ちなみに連合は『誰でも1000円』を掲げていて、それが達成できた時には、『一般労働者の賃金中央値の6割』ということを目標に掲げています。 最低賃金が上がったとしても、やはり中小(企業)が大変になってくるので、そういったところのフォローもきちんとして行かないと、いきなりは難しいんじゃないかなと思います」 石破首相に期待することは何なのだろうか。 「高水準の賃上げが実現できても、結局物価高で実質賃金が上がらなくなってきていますし、貧富の差も激しくなってきているのと、生活困窮世帯が本当に増えてきているんですね。 特にひとり親家庭でシングルマザーの家庭などは本当に大変な状況に来ているので、早くそういったところの是正というかフォローをしていただきたいなと思います」 いま話題になっている『103万円の壁』や『106万円や130万円の壁』については、連合の考えはどうなのだろうか。 「まず130万円については社会保険になると思いますけど、第三号被保険者(会社員や公務員の配偶者のうち、年収が130万円未満なら自ら保険料を支払わなくても基礎年金を受け取ることができる)を10年かけて廃止していくと打ち出しています。これはまさしく女性が活躍して行く上で一つの壁になっていますし、男女間賃金格差を生んでいる要因にもなります。 どういう人生を歩むかによって立場が変わるというのは制度としておかしいし、負担と給付の公平性を考えてもおかしいと思うので、ここは早く中立的で公正な制度にして行くべきだと思っています。 あと106万円の壁についても、やはり今人手不足の中で就業調整をしているのはあまりいいことでもないと思いますので、税と社会保障の一体改革という中では、もっと国民に分かり易い制度にして行くことが国民を巻き込んだ議論になると思いますので、そこを期待したいと思います」