「廃止」合意のガソリン税暫定税率、1リットル当たり25・1円加算 本来は道路財源目的
自民、公明、国民民主3党が11日、ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止で合意した。暫定税率は本来、全国の道路整備の財源不足に対応するために昭和49年に導入され、現在はガソリン1リットルあたり、本来のガソリン税28・7円に加え、25・1円の暫定税率が上乗せ徴収されている。 【グラフィック】トリガー条項発動のイメージ ガソリン税は、「揮発油税及び地方揮発油税」の総称で、昭和24年に1リットルあたり28・7円で定められた。49年に、当時の田中角栄政権が道路整備の財源不足に対応するため暫定税率を導入。2度のオイルショックなどを経て徴収額が2度引き上げられ、54年以降は25・1円が加算されるようになった。 平成元年の消費税導入時には、ガソリン税が含まれた小売価格に消費税が課されることになり、二重の課税状態が続いている。 暫定税率は延長措置が続けられてきたが、20年3月末の期限切れを前に、19年に民主党(当時)が廃止の方針を打ち出した。20年1月に召集された通常国会は「ガソリン国会」と呼ばれて議論が紛糾。当時は衆参の多数勢力が異なる「ねじれ国会」で、民主党はこれを利用して暫定税率を廃止に追い込もうとガソリンの値下げキャンペーンを展開した。 暫定税率は20年3月末で一旦失効したが、当時の福田康夫内閣が存続を図る関連法案を衆院で再議決して復活。21年4月には一般財源化された。民主党は同年の衆院選で圧勝後、鳩山由紀夫政権で租税特別措置法を改正し、期限を定めずに当分の間、特例税率としてガソリン1リットルあたり53・8円の税率の維持を決めた。さらに、ガソリンの3か月の平均小売価格が1リットル当たり160円を超えた場合は、特例税率の適用を止める「トリガー条項」も定められた。 ただ、トリガー条項は、23年3月の東日本大震災の発災を受け、震災の復興財源に充てる目的で凍結され、現在に至っている。(高木克聡)