大企業とはこれだけ違う…日本人の「賃金値上げ」、企業間格差は今後なくなるのか…はたらく人を守る「連合」会長にその現在地を聞いてみた
いまだに女性がキャリアを積むのは難しい日本
ミシンメーカーであるJUKIの労働組合の中央執行委員長だった芳野会長は、なぜ女性初の連合会長に自分が選ばれたと思っているのだろうか。 「まあ、その時のいろんな大人の事情があって(笑)。前任の神津(里季生)会長はじめ今までの歴代会長というのは地方連合会の役員をやったことがないんですね。 今までは産業別組織の三役組織、大手の組織のトップの中から連合会長とか事務局長を選ぶ。組織を代表している人たちの集まりなので、役員推薦委員会が推薦をして選ばれるということが、今までの流れだったんです。 神津さんは、国際基準に照らし合わせた労働運動を進めていくということを考えると、女性のトップもありではないかということと、地方連合会の活動に関わっていた人がやった方が、連合運動としては地方を経験しているだけやりやすいだろうというようなことを仰っていたのは聞きました」 会長として女性幹部の登用など、女性の視点を意識しているのだろうか。 「私が会長になる時に労働運動の全てにジェンダーの視点を入れていくという宣言をして、挨拶する時には必ずそれを入れています。地方連合会も構成産別(同じ業界や業種の企業別組合が集まって構成された産業別組織)も、ジェンダー平等、女性参画というのは凄く意識するようになりました。 (組織に)変化は出て来ていると思います。ただ、実際にじゃあ女性役員の数が増えたかというと、そこはまだまだです。ただ、気持ちがこう動いたというだけでも、この岩盤の組織の中でも大きいと思います」 日本の社会でまだまだ女性が指導的立場になるのは難しい原因は何だと思うかと、聞いてみた。 「日本は、社会も職場の中も家庭の中でも“性別役割分業意識”が凄く根強いと思っていて、家事、育児、介護は女性がやったほうがいいだとか、配慮か排除なのかというところもあると思いますけど、難しい課題だとか、ちょっと上のポジションにつけさせようとした時に、『まだ経験がない』とか『無理じゃないか』とか『かわいそうだ』とか、たぶん男性たちから働くんですよ。 そういう場につけなければ経験もできないですし、失敗すらできないということを考えると、なかなか女性ってキャリアを積んでいくのが難しいじゃないですか」