大企業とはこれだけ違う…日本人の「賃金値上げ」、企業間格差は今後なくなるのか…はたらく人を守る「連合」会長にその現在地を聞いてみた
経団連との距離感はどうか
“女性”の活躍と共に、日本の経済が元気になるためのキーポイントは”地方“だと、芳野会長は強調する。 「今までは中央で政労使(政府、労働組合、企業経営者)の意見交換をやってたんですけど、地方の中小小規模事業所の賃上げが要だと思いますし、日本経済をこれから活性化していくためには地方が元気にならないと一部の首都圏だけが元気でもあんまり意味がないので。 地方がポイントだなと思って地方版政労使会議の開催を要請したところ、すぐ政府が動いてくださって、今年の1月から3月にかけて47都道府県全てで地方版政労使会議ができたんです。 それぞれの地域の中で政労使が実情をちゃんと共有化して、地域の発展、活性化のために何が必要なのかって話してもらうのは凄く大事だと思うので、取り組みとして強化をしたい」 “政労使”でいうと、経団連(日本経済団体連合会)との関係性や距離感についてはどう考えているのだろうか。 「もちろん経営者と労働者って、利害関係者というか相反する部分もありますけれども、でも日本の労働組合は企業別組合なので、企業労使の取り組みなんですよね。 企業が発展して行き利益を出さなければ、そこで働いてる人たちの労働条件の改善には向かわないので。利害関係者とはいえ目的は一緒だと思いますから、やはりそこは健全な労使関係の中で協議、交渉しながら、お互いに上を目指して行くという中では、一致する点もたくさんあるんじゃないかなと思っています。 これまでは“闘う組合”みたいなイメージが凄くあるじゃないですか。でも実際にやっていることは会社との協議、交渉なので、そこで対話を大事にしたいなっていうのはあります。 だから経団連(会長)の十倉(雅和)さんといろんな会議でお会いする度に、私も闘うのではなく、やはり対話を大事にしながら、お互いの立場を尊重し合いつつ、やはり共通点を見つけて課題解決して行くということが重要だと思っているので、『決して闘いじゃないですよね』という話で、十倉さんと経団連と会っているかな。でも言うべきことはちゃんと言いますよ、もちろん」 政治との向き合いはどうなのだろうか。第2次安倍政権から、政府が主導して経済界に対して直接賃上げを呼び掛ける、いわゆる“官製春闘”が進んでいるが、その評価について聞いた。 「それは凄く言われていましたし、連合の中でもそういうふうに言われることに対して、やはりいろんな意見を持たれている方もいますが、でも結果的に多くの所で労働組合が無いので。 組合が有る所は自分の所で課題解決できますけど、じゃあ組合の無い所の皆さんのために何ができるかといったら、やっぱりそれは政治の力を使うというのも当然私はありだと思っているので、結果が出れば何を言われても平気かなと思っていましたが、今はもう誰も何も言わなくなったじゃないですか、結果が出たから」