プロテインも要注意? 大人も気をつけたい、食物アレルギーの原因と特徴(専門家が監修)
魚類・魚卵
魚類アレルギーは乳幼児期に発症することが多く、人口全体では有病率は1%以下。海に囲まれた日本は魚類を食べる機会が多いため、海外よりも有病率が高い。 主要アレルゲンは、魚の身(筋肉)に含まれる水溶性のタンパク質であるパルブアルブミン。金目鯛やイサキのような小型魚に多く、マグロやカツオなどの大型魚には少ない。部位によってもパルブアルブミンの分布には偏りがあり、血合いは含有量が少なく、尾側より頭側、背側より腹側の身の方が含有率は高い。 パルブアルブミンを作るアミノ酸の配列の共通点は、種類の異なる魚類でも50~80%と高い。このため魚類アレルギー患者の2人に1人は、すでにアレルギー反応を起こした種類以外の魚類でも、新たにアレルギー反応を起こした経験がある。アニサキスアレルギーやヒスタミン食中毒と区別して、治療を進めよう。缶詰、カツオやイリコの出汁では、アレルギー反応は起こりにくい。 魚卵でも、食物アレルギーが生じることがある。魚卵は生で食べることが多いため、魚類以上にアレルギー反応が出やすい。その95%はイクラによるもので、次がたらこ。イクラやたらこにアレルギーがあっても、数の子やとび子といった他の魚卵は平気なことも少なくない。
加熱で変わる、アレルギーの起こりやすさ
当然だが、茹で卵は生卵には戻らない。加熱によりタンパク質の構造が一度変わると、二度と逆戻りしないのだ。アレルゲンもタンパク質だから、加熱すればアレルギー反応を起こさなくなるのだろうか。鶏卵(とくに卵白)や、野菜・果物のタンパク質のように、加熱するとアレルギー症状が出にくくなるものもある。しかし、カゼインやグルテンのように多くのアレルゲンは加熱で多少構造が変化しても、IgE抗体と反応する抗原性が落ちるわけではない。
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.875・2024年3月7日発売)