プロテインも要注意? 大人も気をつけたい、食物アレルギーの原因と特徴(専門家が監修)
木の実類・ピーナッツ
食物アレルギーの原因物質のトップ3は、長らく鶏卵、牛乳、小麦だった。その小麦を抜き去り、ランキング4位から3位へ躍り出たのが、木の実類。ことにクルミやカシューナッツのアレルギーが目立ち、なかでもカシューナッツはアナフィラキシーを起こしやすい。健康食として食べる機会が増えたことが、急増の背景にあるもよう。鶏卵や牛乳と比べて耐性獲得率は低いので少々心配。 市販のミックスナッツにはまとめてパッケージされているが、クルミはクルミ科、カシューナッツはウルシ科、アーモンドはバラ科、ヘーゼルナッツはカバノキ科であり、植物学上では異なる品種。どれか一つにアレルギーがあっても、木の実全般を避ける必要はない。 でも、クルミとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオは同じ仲間でアレルゲンが似るから、どちらかにアレルギーがあるならセットで排除すべき。 小麦に続く原因物質の第5位は、ピーナッツ(落花生)。木の実類と間違えられやすいが、植物学上の分類は大豆などと同じ豆類。 ピーナッツは、クルミと並んで特定原材料の表示義務がある。ジーマーミ豆腐、佃煮、カレールウ、スナック菓子などの加工食品を買う際は、原材料表示で有無を確かめる。外食や中食には表示義務がないため、誤って食べないようにしたい。
小麦
小麦の主要アレルゲンは、小麦タンパク質の成分であるグルテン。アルコールに溶けるグリアジンと、溶けないグルテニンを含む。小麦食品独特の粘り気は、水を加えて練り合わせることにより、グリアジンとグルテニンが結合するから。他のアレルゲンには、α-アミラーゼインヒビターがある。小麦粉を使ったパン、麺類、お菓子、カレーやシチューのルウなどにも気をつける。 大麦には、小麦のグルテンのうちでもω-5グリアジンと交差反応するタンパク質があるため、小麦アレルギーを起こすこともある。小麦と違い、加工食品に大麦の表示義務がないうえに、押し麦、もち麦、丸麦、はったい粉など、多くの呼び名があるため誤食には配慮が求められる。ただ麦味噌や麦茶は大丈夫。 大人の小麦アレルギーは、食後の運動で急性の症状を招く食物依存性運動誘発アナフィラキシーで生じることもある。 2009年には、小麦の加水分解成分を配合した石鹼を使ったユーザーが小麦食品を食べて、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを多発するという事件があった。これは分解により小麦のアレルゲン性が逆に強まり、それが皮膚から入ってIgE抗体ができたところに、食べた小麦からもアレルゲンが入り、さらに運動刺激が加わり起こったものだった。