プロテインも要注意? 大人も気をつけたい、食物アレルギーの原因と特徴(専門家が監修)
米アレルギーが少ない理由
同じ穀物でも、小麦アレルギーと比べて米アレルギーは少ない。小麦アレルギーの患者には、小麦粉の代替品として米粉を愛用する人もいる。米にも、アレルゲンの可能性を持つタンパク質が含まれる。アルブミンやグロブリンなどだが、小麦のグルテンとは作りが違うため、小麦アレルギーでも米粉はOKなのだ。 頻度は高くないが、米アレルギーが皆無なわけではなく、それゆえアルブミンやグロブリンなどを減らした低アレルゲン米も販売されている。
大豆・ソバ・ゴマ
ヘルシー食として知られる和食に欠かせない食材の大豆、ソバ、ゴマでも、食物アレルギーは生じる。大豆アレルギーは乳幼児期の即時型症状が多く、大豆は食物アレルギーの原因としては第10位だ。 主要アレルゲンは大豆の貯蔵タンパク質。豆腐や豆乳でアレルギー症状が出ても、大豆を原料とする醬油、味噌、大豆油は症状なく摂取できることも珍しくない。他の豆類のアレルゲンとの共通性は50%程度に留まり、エンドウ、インゲン、ピーナッツとの交差反応は少ない。 3歳までの耐性獲得率は約80%と高いけれど、児童期以降には大豆のアレルゲンと共通点を持つカバノキ科花粉を吸い込んで起こる花粉―食物アレルギー症候群(PFAS)が増えてくる。 ソバは、即時型の食物アレルギーの原因物質の第11位。アナフィラキシーショックを起こしやすく、重篤な症状を示すこともある。ソバは表示義務があるから、ガレットや饅頭などにソバ粉が入っていないかを確認しよう。枕のソバ殻でも反応は起こりやすいから、油断は禁物。 ゴマに対するアレルギーは、幼児期に即時型として発症するケースが目立つ。耐性を獲得する割合は残念ながら低く、粒ゴマより擂りゴマや練りゴマの方が症状は出やすい。ゴマ油は問題なく摂れることも多い。
甲殻類・軟体類・貝類
甲殻類はエビやカニ、軟体類はイカやタコ、貝類はホタテやアワビなど。なかでも甲殻類は、食物アレルギーの原因としては8番目に多く、成人で新たにアレルゲンを特定される食べ物としてはいちばん多い。 甲殻類の主要アレルゲンは、トロポミオシン。その性質(アミノ酸配列)の共通点は、ブラックタイガーやロブスターといった種類の異なるエビ同士では95%以上、エビとカニの間でも85~95%と極めて高いのが特徴。このため、エビアレルギー患者の約65%は、カニでもアレルギー反応を体験したことがあるという。調味料の甲殻類エキス、あるいはエビ煎餅などの加工品には、アレルギー反応が起こる人と起こらない人がいるようだ。 甲殻類と同じ節足動物に分類されるダニやゴキブリも、アレルゲンとしてトロポミオシンを持つ。ハウスダストとしてこれらを吸い込むと、甲殻類と交差反応を起こしてアレルギー反応が出ることがある。 甲殻類と軟体類・貝類の間のトロポミオシンの共通点は約60%と低めだから、甲殻類アレルギー患者が軟体類・貝類でアレルギーを起こす割合は20%前後に留まる。 美味しいから食べたくなる気持ちもわかるけれど、甲殻類・軟体類・貝類を完全にカットしたとしても、栄養的には幸い大きな支障はない。