プロテインも要注意? 大人も気をつけたい、食物アレルギーの原因と特徴(専門家が監修)
鶏卵
もっとも食物アレルギーの引き金になりやすいのは、鶏卵。全体の3分の1以上を占める。ことに乳幼児で頻発し、アトピー性皮膚炎に引き続いて発症しやすい。 乳幼児に鶏卵アレルギーがあっても3歳までに約30%、6歳までに約66%が耐性を獲得し、鶏卵を食べても症状が出なくなる。鶏卵をまったく食べないよりも、加熱した鶏卵を月5回以上食べたグループでは、まったく食べなかったグループよりも3倍以上の比率で耐性化が進んだという研究結果もある。 鶏卵のアレルゲンとなるのは、オボムコイド、オボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチームなど。“オボ”とは鶏卵のことだ。 アレルゲンの作りが似ていることから、鶏卵アレルギーがあるとウズラ卵やアヒル卵(ピータン)でも60%以上の割合でIgE抗体ができて、アレルギー反応のスタンバイ状態になるという報告がある。 また市販の風邪薬(総合感冒薬)には、鶏卵に由来する成分(塩化リゾチーム製剤)が抗炎症剤として入っていることがあり、鶏卵アレルギー患者が服用するとアレルギー反応が出ることも考えられる。薬剤師に相談しよう。 鶏卵を産む親鶏の肉(鶏肉)、同じ卵でも魚卵には、鶏卵アレルギー患者でもアレルギー反応は通常起こらないため、普通に食べてOK。
牛乳
牛乳のタンパク質(ミルクタンパク)は、ホエイとカゼインに分けられる。どちらもアレルゲンになり得るが、ことにカゼインはIgE抗体を誘導するアレルゲン性が高い。 カゼインは、ミルクタンパクの80%ほどを占める。加熱で変形しにくいうえに、体内のIgE抗体が認識して結合するエピトープ(抗原決定基)を多数持っていることから、アレルギー反応を起こしやすいのだ。 ホエイでは、β-ラクトグロブリンが主要なアレルゲンとなる。ただ、こちらは加熱で変形しやすく、アレルゲン性が低下しやすい。日本では乳児期に牛乳アレルギーがあっても、3歳時にはおよそ60%が耐性を獲得するとされる。 ヤギ乳や羊乳にも牛乳のアレルゲンと似たタンパク質があり、交差反応でアレルギーが出ることもある。反面、加熱調理した牛肉でアレルギーが起こることはほとんどない。 トレーニーの味方であるプロテインでも、ホエイやカゼインを原料としているタイプだと、通常より多くのアレルゲンが一度にドッと入ってくる。このため、普段の食事では症状が出にくい軽症でも、牛乳アレルギーが誘発されるリスクがあるから気をつけたい。耐性を得ていた子供が、ミルクタンパクを含むプロテイン飲料で激しい症状が出るアナフィラキシーに見舞われた事例もある。