慶應野球部メンタルコーチが考える<なでしこジャパン>が2011年に世界一に輝いた理由。出場辞退も議論される中、佐々木監督がある映像を見せて…
2023年に開催された第105回全国高等学校野球選手権大会で、慶應義塾高等学校が107年ぶりに優勝しました。この優勝に大きく貢献したのが、メンタルコーチ・吉岡眞司さんのメンタルトレーニングです。吉岡さんは、「成果を挙げているチームは、明るく雰囲気がいい特徴が見られる」と語っていて――。今回は、吉岡さんの著書『強いチームはなぜ「明るい」のか』から、あらゆる分野に活用できるメンタル術を一部ご紹介します。 【書影】慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いた、負け知らずのメンタル術。吉岡眞司『強いチームはなぜ「明るい」のか』 * * * * * * * ◆「人を喜ばせたい」という本能を味方につける 世の中には、「目標」は設定していても、「何のために」という「目的」を明確にしている人はあまり多くはいないものです。実は、目的がはっきりしていないと、目標を達成しようとする使命感、やる気やモチベーションなどが上がりにくいのです。 この目標と目的を設定するうえで覚えておいていただきたいのは、人は自分のため「だけ」にはなかなか頑張れないということです。 成功するイメージを思い描くうえで大切なことを一つ挙げます。それは「その成功イメージにワクワクできるか?」ということです。 「ワクワクする」のは言うまでもなく「自分」です。ただ、その目標の動機付けが、「自分のため」だけになっていると、大きな壁にぶつかったときにくじけやすい傾向があります。 「どうにも苦しいから、もう今回はダメでも次で頑張ればいいか」などと簡単に逃げてしまいやすいのです。 少し専門的に説明すると、私たちには身を守るための自己防衛本能があります。 「自分の喜び」だけが動機になった目標だと、壁にぶつかってどうにも前に進めなくなった際に、「自己防衛本能」が過剰に働き出すことがあります。 すると、私たちの脳は、自己を正当化するあまりに、前に進めなくなった事実に対して、責任転嫁する傾向を持ち合わせています。 たとえば、 「アイツがいるから、これだけ努力してもレギュラーになれない」 「育ってきた環境が悪いから、いくら勉強を頑張っても志望校に合格できない」 このように、自分の外に原因を求めることで、今のつらい状況から逃げ出そうとしがちです。
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