慶應野球部メンタルコーチが考える<なでしこジャパン>が2011年に世界一に輝いた理由。出場辞退も議論される中、佐々木監督がある映像を見せて…
◆「誰かのために」という気持ちが生まれる理由 しかし、家族や友人、チームの仲間、パートナーなど「誰かのために」という動機があると、くじけそうになったとしても、「あの人を喜ばせるためにもう少し頑張ってみよう」という思いが脳内をよぎり、簡単にあきらめにくくなるのです。 これは、私たちには誰しも「人を喜ばせたい」という本能があるからです。 仕事でもプライベートでも、自分が行ったことで人が喜んでいる姿を見たり、「ありがとう」と言われたりすると、うれしくなって、また何かしてあげたくなるのはそれゆえです。 「また喜んでもらいたいな」「また力になりたいな」という気持ちが自然とわいてくるのです。 ですから、 「いや、ちょっと待て。私はいつも支えてくれる両親の喜ぶ顔が見たいからレギュラーを目指していたはずだ」 「あの大学に合格して、将来この道に進んで人の役に立ちたいから、勉強を頑張っているんだ」 このように、目標設定において、「自分のため」だけでなく、「誰かのため」という要素を加えることで、私たち人間が生まれながらにして持つ「人を喜ばせたい」という本能を味方につけることができます。 もう限界と思えるようなときに、もうちょっと踏ん張ってみようという強い気持ちが生まれてくるのです。
◆「なでしこジャパン」が世界一になった理由 2011年にドイツで開催された「FIFA女子ワールドカップ」で、女子サッカー日本代表チーム「なでしこジャパン」が初優勝を成し遂げました。 日本のチームがサッカーの世界大会で初めて頂点に立った、この快挙を支えたのも「誰かのために」という思いでした。 その年の3月11日に東日本大震災が発生。東北地方を中心に地震と津波で大きな被害に見舞われました。 「日本中が震災で大変なときに、私たちは海外にサッカーの試合に行っている場合なのか……」 大会を控えて合宿していた選手たちの間にも疑問と葛藤が生まれ、「大会に出場すべきか、辞退すべきか」と喧々諤々(けんけんがくがく)に議論したこともあったそうです。
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