海外メディアは橋本聖子氏の新会長就任をどう評価したのか?「元五輪選手が困難な任務を請け負う」「森氏と同じ派閥」
記事は橋本氏と五輪の切っても切れない関係性を紹介。その一方で、「橋本氏は、すでに1年延期され、依然として新型コロナのパンデミックの脅威に直面している東京五輪に(開催の)自信を再度もたらさねばならないという、困難で誰からもうらやましがられない任務を請け負う。現在は、困難が重なり、大会は日本の世論の支持を大幅に失ってしまった。昨年、日本の麻生太郎副総理は、東京五輪を『呪われた』と表現した」と、橋本新会長が置かれている厳しい状況を説明した。 また橋本氏が選任された背景を「日本の与党の派閥支配の中で橋本氏の選択は波風を立てないだろうというものだった。彼女は森氏と同じ派閥に属し、過去に彼を理想の父親と言い表したことがある」と鋭く分析。政府の意向や森氏との関係性について言及した。 だが、「彼女は国会議員として五輪を競ったただ一人の日本女性であり、公職中に出産を経験した唯一の参議院議員として、いくつもの歴史を作ってきた」とも記して、新会長への期待感も伝えた。 米ヤフースポーツは「元五輪選手の橋本氏が大坂なおみの支持を受けて東京五輪のトップを引き継ぐ」との見出しを取り、全豪オープンの決勝へ進んだ大坂なおみのコメントと橋本氏の就任をリンクさせた。 記事は「彼女の就任は性や世代の(問題で)転換機になるとする者もいれば、これまでと同じと見る者もいる。この動きは前リーダーの森氏が『女性のいる理事会は彼らが話し過ぎるために時間がかかり過ぎる』と発言し批判を受けた2週間前から起きた」と、橋本氏の就任に至る経緯を紹介。「大坂なおみは前進を見せたと考えている」と、大坂なおみの支持を特記することで日本の期待感を表した。 オーストラリアのABCニュースは「東京五輪は橋本氏が、彼女のボス(森氏)が性差別で怒りを買って辞任した後、彼女によって組織される」との見出しで、橋本氏と森氏の関係性について強調した。 記事は「橋本氏の役割は、五輪との強いつながりを生かすことにある」とし、過去の五輪出場経歴を紹介。「組織側は、森氏の発言による激しい抗議を受けて性平等や多様性に深い理解を持つ新しいリーダーを望んでいた」と、選任の背景を説明した。 英ガーディアン紙は「東京五輪の新会長、新型コロナが『大きな懸念事項だ』と認める」との見出しを取って、橋本氏の就任スピーチをクローズアップ。「性差別騒動の後、森氏を引き継ぎ、東京五輪の開幕まで5カ月で就任した元五輪の自転車、スピードスケート選手(の橋本氏)は、新型コロナの脅威に対応していくことが、現在、直面している最も重要な課題となると語り『安全で安心な』大会を開催することを固く誓った」と紹介した。 女性蔑視発言で辞任した森氏の後任に女性でオリンピアンの橋本氏を選任したことに対しての海外メディアの評価は、総じて期待と不安が入り交じったものだった。