五輪放映権を持つ米NBCが森会長の辞任を要求する意見記事「彼は去らねばならない」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言に端を発した辞任要求の声が収まらない。IOC(国際オリンピック委員会)の「完全に不適切な発言だった」の“手のひら返し”の非難声明に続き、大会スポンサーも次々と非難声明を発表。海外メディアも、森会長の辞任を要求する世論を明確に支持し始めた。 五輪の放映権を持ち、開催是非のキーを握るとされる米NBCは、「東京五輪のトップ、森氏が性差別で大坂なおみや他の人々から非難を受ける。彼は去らなければならない」との見出しを取って辞任を求める意見記事を掲載した。 同記事は、東京五輪の招致から、ここまでの経緯を「2013年に東京が2020年夏季五輪の招致争いをしていた時、招致委員会は東京を『信頼できる人々』と言い表していた。だが、これらの人々は一貫してふらついている。開催費用は、招致段階での73億ドル(約7600億円)だったものが日本政府による2019年の監査では260億ドル(約2兆7200億円)へ収拾不能なまでに膨れ上がった。さらに2021年への大会延期費用の約30億ドル(約3100億円)が追加され合計で約300億ドル(約3兆1400億円)になろうとしている。日本の五輪招致活動に関しても票の買収疑惑が長年の間、飛び交い、フランス検察がこの件で調査に入ったこともある」と総括。続けて、森会長の女性蔑視発言の問題について「今、東京組織委員会の会長で元首相の森氏は、聖火を落としてしまった」と、皮肉を込めて表現した。 さらに当初、「この問題は終わった」としながらも、“手のひら返し”の非難声明を出したIOCの対応の不手際も、こう批判した。 「IOCは、明確な沈黙の後、ようやく火曜日に森氏の発言(女性蔑視発言)を非難する声明を発表した。委員の2/3が男性となるIOCは、彼らが誠意をもって性平等に取り組んでいることを喧伝する機会としてこの失態を利用した。だが、実際は、IOC自体も不快な性差別の過去を持っている」 近代五輪を創設したピエール・クーベルタンは女性の大会参加に反対だったことや、1981年までIOCの委員に女性が加わることが認められなかったこと、スキージャンプの女性参加が認められたのは2010年のバンクーバー五輪からだったことなどが紹介された。 その上でIOCが森会長に辞任勧告をすべきだと主張した。 「東京五輪はアスリート全体の49%近くが女性となると約束し、2016年のリオ大会の45%から増えることになるが、森氏の措置に対するあらゆる取り組みは極めて不誠実なものだ。さらに重要なカギは、今後IOCが正しいことを行い、森氏に辞任を強いることができるか?という点にある。無作法なふるまいを無視することは、さらなる無作法なふるまいを呼び起こすことになる」