声優・松野太紀さん56歳で逝去 死因の「脳出血」の初期症状・予防法を医師が解説
すぐに病院へ行くべき「脳出血の前兆」
ここまでは脳出血の前兆となる症状を紹介してきました。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。 ・徐々に悪化する頭痛症状の場合は、脳神経外科へ 徐々に悪化する頭痛がみられた場合には、脳浮腫(脳のむくみ)による症状である可能性もあります。硬膜動静脈瘻では血管の異常によって動脈や静脈の血流動態に問題が生じるために脳浮腫を起こしていることもあります。これを放置すると脳浮腫の悪化や脳出血を起こす可能性があります。 対応策として、画像診断を行って異常血管病変を処置する治療を行うことで回復することが期待できますので、すぐに脳神経外科を受診することをお勧めします。 ・受診の目安となる「脳出血の前兆」のセルフチェック法 •・頭痛、嘔吐がある場合 •・手足に力が入らない、しびれが出現した場合 •・ろれつが回らない症状がある場合
脳出血の治療法
脳出血の治療のポイントは、血圧を適切な値に保つことです。その他にも、脳出血の原因ごとに適切な治療法がありますので、ここからご紹介していきます。 ・血圧管理 脳出血が発症したばかりの段階、いわゆる急性期には、血圧が非常に高くなっています。そのため、血圧を下げる薬を使い、血圧を適切な値(収縮期血圧140mmHg未満)にまで下げることが推奨されています。血圧を下げることで出血がさらに増えないようにします。 ・血腫除去 脳の出血が大きい場合や、血腫がある部位として手術が可能な場合には血腫(血の塊)を取り除く手術が行われます。この治療の重要なポイントは、脳出血による症状の改善を目的としていないことです。血腫が周りの正常脳組織へ圧迫することで二次的な脳損傷を起こすことがあるので、この二次的な脳損傷を予防する目的で行う手術です。 血腫除去手術を行うことで症状が改善することは期待できませんが、ベッドでの寝たきりの時間を減らしてリハビリ治療を早く進めることができるというメリットはあります。血液をサラサラにする治療薬をもともと飲んでいる場合には血が固まりづらく、血腫除去術自体も非常に難しいので、血腫の場所や大きさ、意識状態、血の固まりにくさなどをはじめとした検査結果内容などを総合的に判断して手術を行うメリットが高い場合には考慮する治療です。 ・脳の異常血管病変の治療 脳出血の原因の多くは高血圧ですが、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻などの脳の血管異常が原因であることも経験します。これらの異常血管病変に対しては、脳出血の発症予防あるいは再発予防を目的に治療を要します。大きさや部位によって、血管内塞栓術や手術、放射線治療を単独あるいは組み合わせて行います。