なぜ箱根駅伝アンカーでの駒大“大逆転ドラマ”が起きたのか?名将「不思議な勝ち方を…」
創価大・榎木監督は、「選手たちには『優勝』という言葉を出さずに、『自分たちの力を100%出そう』としか言っていません。今回は3位以内が目標でした。優勝は逃しましたが、目標をクリアしました。力通りに走ってくれたと思います」と選手たちを称えていた。小野寺に対しても、「卑屈にならず、堂々としてほしいですね。この経験があったからこそ、将来の小野寺があるんだといえるくらいに今後の競技に生かしてほしいと思います」と決して責めることはしなかった。 最後に笑った大八木監督は優勝争いがもつれることも想定して石川の10区起用を決めたという。 「12月30日にメンバーを発表するまで誰が外れるか分からなかった。チーム内で競争心が沸いていたなかで、この1カ月くらいは石川に男気があったんです。昨年も10区を走っていますし、7区や9区も考えていたんですけど、最後に10区の起用を私が決めました。昨年は競り合いに負けましたが、今回はリベンジしてくれるんじゃないかなと思っていたんです」 両校とも今大会の目標は「3位以内」で、それを達成したことになる。 駒大は出走中4年生がひとりだけの若いチームだったが、創価大も2区区間6位のフィリップ・ムルワ(2年)、3区区間3位の葛西潤(2年)、4区区間2位の嶋津雄大(3年)、5区区間2位の三上雄太(3年)、6区区間7位の濱野将基(2年)、8区区間8位の永井大育(3年)、それからアンカーを務めた小野寺が残る。 優勝争いを演じた経験と自信が、創価大というチームをさらに強くしていくことだろう。25年前の駒大のように。もしかすると来年は駒大と創価大の”2強対決”になるのかもしれない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)