今年の箱根駅伝は”豊作”1年生が勝敗のカギを握る!
今日スタートの箱根駅伝は昨年12月29日に1~10区の各区間と補欠6人の「区間エントリー」が行われ、レース開始1時間10分前(往路は1月2日、復路は1月3日の朝6時50分)に「当日変更」を受け付けている。直前の体調不良や故障などのアクシデントに対応できるように、エース級をあえて補欠に登録しておくのがスタンダードだ。これはチームの戦略を隠す目的もある。一方で他校のオーダーを確認した上で、投入区間を決めることもある。今大会から従来の4人から6人の選手変更(往路・復路それぞれ最大4人)が可能となり、レース前の”駆け引き”が顕著になった。 今季は1年生の”当たり年”で、有力校を中心に「スーパールーキー」と呼べる選手たちがたくさんいる。レース全体のカギを握る1年生は何区に起用されるのだろうか。 すでに区間登録されている目玉ルーキーでいうと順大・三浦龍司が1区に入っている。三浦は7月に3000m障害で41年ぶりの学生記録、37年ぶりのU20日本記録となる8分19秒37(日本歴代2位)をマーク。有効期限外ながら同種目の東京五輪参加標準記録を上回るタイムを残しており、東京五輪に最も近い学生ランナーだ。全日本大学駅伝は1区を走り、強烈なラストスパートで区間賞・区間新を奪っている。 1区は一斉スタートでしかも平坦なコース。スピードさえあれば1年生にとっては走りやすい区間だ。今回も明大・児玉真輝、早大・辻文哉、国士大・山本龍神、山梨学大・新本駿というルーキーが登録された。児玉と辻は全日本でも1区を任され、区間5位、同6位と好走している。児玉は10000mで28分22秒27のタイムを持っており、古豪・明大が72年ぶりの優勝を果たすにはキーマンになる選手だろう。 補欠登録のなかにも1区に起用されそうなスーパールーキーがいる。9月の日本インカレ5000mで“1年生王者”に輝いた中大・吉居大和だ。今季は7月に東海大・佐藤悠基(現・SGホールディングス)が保持していた5000mのU20日本記録を15年ぶりに塗り替えると、11月14日の日体大長距離競技会10000mでU20日本歴代3位の28分08秒61をマーク。12月4日の日本選手権5000mではU20日本記録を13分25秒87に短縮して3位に食い込んでいる。 吉居が1区に入ることになれば、三浦との“スパート対決”が非常に楽しみだ。ふたりは10月の箱根予選会で直接対決している。このときは吉居が日本人トップ集団で攻めたのに対して、三浦は日本人第2集団でレースを進めた。終盤に吉居を逆転した三浦がハーフマラソンのU20日本最高となる1時間1分41秒で日本人トップ。吉居は同U20日本最高タイの1時間1分47秒だった。 三浦は今季出場した4レースすべてで新記録を打ち立てて、日本人には負け知らず。吉居は予選会で先着されたこともあり、三浦に強いライバル心を抱いている。ともにラストスパートが持ち味だけに、終盤では激しい競り合いが見られるはずだ。ふたりの実力にナイキ厚底シューズの”追い風”もある。高速レースになれば、終盤ペースアップして東海大・佐藤悠基が保持する区間記録(1時間1分06秒)を突破できるかもしれない。