海外で、醤油は飲むもの? 寿司職人が目撃した「米をソースに浸す」文化
寿司職人の小川洋利さんは、日本のすし文化を全世界に広めるため、世界50カ国以上にわたって、すし指導員として外国人シェフに調理指導をされています。本稿では、小川さんが海外で目撃した「驚きのSUSHI事情」について、書籍『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』からご紹介します。 【写真】アメリカ人観光客が驚いた「駅弁の美しさ」 ※本稿は、小川洋利著『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』(キーステージ21)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
数多くの飲食店から一瞬にして抜け出す「SUSHI」の看板力
日本では、寿司はみんなが好きというイメージがありますし、今は回転寿司やお持ち帰りなどで、手軽に食べられる時代になりました。寿司にもランクができてきましたね。冠婚葬祭でしか食べられないくらい高級だった寿司が、最近ではスーパーでも手頃な値段で買うことができ、手軽に食べられるようになっています。 日本人にとって、寿司は「日常的なもの」「手頃なもの」という方向に進んできています。海外では寿司と言うとまだ高級なイメージがあります。「SUSHI」という看板があったら、「この店高いんだ!」と感じてしまうようです。 逆に世界文化遺産としての「和食」は、残念ながら海外ではまだ広く認知されていないようです。日本の政府が和食を日本食全般という意味で登録したのですが、和食の定義が海外では理解しづらいようです。しかしながらSUSHIはどこの国に行っても認知度が高く、世界の共通語といえるほどです。 最近、海外でよく見かけるのは、SUSHIと書いてある看板です。そのSUSHIとは何かというと、カリフォルニアロールや手巻きのこと。にぎりでなくても、寿司は寿司だという感じで、少しだけでもメニューに置いている。コーヒー屋さんなのに、メニューに軽くカリフォルニアロールを入れるだけで、看板に「SUSHI&COFFEE」という文字を入れるのです。 東南アジアなどでもそうですが、SUSHI&CURRYとか、SUSHI&PIZZAとか、なぜかSUSHIを入れたりします。とくに、中国人は商売上手なのでCHINESE&SUSHIみたいに、本当によくSUSHIを使います。中華料理屋だけど、少しだけ寿司を置くことによって「SUSHI」を看板にすることができて、そのことでランクが上がって、お金が取れるというイメージがあるようです。 地元の方から、寿司には高級なイメージがあるので「SUSHI」を入れることでブランド化されるというのを聞いて、これは面白いと思いました。それだけ「寿司」という魅力、影響力というのは強いのだなと。