海外で、醤油は飲むもの? 寿司職人が目撃した「米をソースに浸す」文化
「つけるもの」から「飲むもの」へ!? 進化し続ける海外の醤油
お米は基本的に大きく分けて短粒、中粒、長粒と3種類あります。短粒種は主にジャポニカという日本でよく食べるお米。中粒種は、カリフォルニア米みたいな中くらいの長さのお米です。 あと、長粒種は、インディカ米といってタイ米みたいな長細い米です。寿司飯に最適な米はうるち米(短粒種)です。炊くとしっかりした形を残しながら、やわらかく粘りがでます。また、かむほどに味わいがあり、甘味があります。 日本古来の米作は水稲で作られています。カリフォルニア米のような中粒種の米は陸稲が多い。主にアメリカ、オーストラリアで栽培されます。昔は水分も少なく、パサパサでしたが、ここ近年、品種改良されて中粒種も炊くと粘りとツヤがでるようになり、寿司にも適しています。 一方で、インディカ米など長粒種とよばれる細長い品種は、粘りが少なく、寿司飯には適さない。こういうパサパサした米は、ソースを絡めたり、チャーハンなど味をつけるものに適したお米です。 海外では、どちらかというと長粒種を食べている国が多いです。なぜかというと、白いご飯を食べる習慣がないので、必ずソースなど味をつけて食べるから。 海外では、寿司を作ってもソースなどで何か味をつけないと食べられない人が多い。そうすると、寿司でも、シャリにたっぷりと醤油をつけて食べます。もう、醤油の味しかしないくらい。私たちが見たら食材のうまみどころじゃない。そうなるのは、ソースを米に絡ませるという習慣があるからです。塩分が強いため体にはよくありません。 海外では醤油は結構値段も高く、しかも塩分が強いから、たくさん使うと喉も乾きます。ヨーロッパの寿司を扱っているお店では、醤油を水でうすめているところもあるそうです。私も以前、ヨーロッパの寿司店でお寿司を食べたときに、何か醤油がうすいなと思って、店員に聞いてみると「水で割っている」と言うので、驚いたことがありました。 醤油たっぷりにワサビを溶かして、シャリにたくさんの醤油をベタベタつけて食べる。そのような食べ方を海外ではよく目にします。 また、なかには、深めの小皿に醤油をたくさん入れ、その中にお寿司を入れてお茶漬けみたいに食べる人も見かけます。お客様一人で、醤油一瓶分が空になってしまうほど......。醤油が、つけるものではなくて飲むものになっているようです。