内省(リフレクション)とは?自身の成長とビジネスに生かせる「振り返り」の技術
最近、ビジネス関連で「内省(リフレクション)」という言葉を耳にして、「仕事にどんな関係があるの?」と疑問に思う人も多いかもしれません。内省とは、自己を客観的に振り返ること。変化の激しい現代において、未来を創るための重要な力と言われます。内省の意味とメリット、そして誰でもすぐに実践できる方法を、日本のリフレクション推進の第一人者である、21世紀学び研究所・代表理事の熊平美香さんにうかがいました。
内省とは自身を客観的に振り返ること
みなさんの中には「内省」や「内省的な人」という言葉に対し、内向的で静かなイメージを持っている人が多いかもしれません。でも実は、内省とは未来を創造するダイナミックな力となるものです。 ◆内省とは 内省=リフレクションとは、「自己を客観的かつ批判的に振り返る行為」と定義することができます。リフレクション(reflection)についてはギリシャ哲学の時代から記録がありますが、日本語では「内省」が最も近いため、両者は同じであると捉えていいでしょう(以下本文では「内省」と表記します)。 内省の目的は、過去のあらゆる経験から学び、未来に活かすことです。もし、私たちがずっとものの見方を変えず、同じことを続けていくのなら、内省をする必要はありません。しかし、何かを創造しようとする場合には、経験を通じて自分の内面と向き合い、ものの見方や行動をアップデートすることが欠かせないのです。 ◆「反省」や「内観」との違い 内省と似ている言葉に「反省」があります。どちらも過去の経験を振り返ることですが、両者は目的が違います。 一般的に反省とは、「結果」に価値を置いて過去の言動を振り返ることであり、そのプロセスで自他への責任追及や謝罪、言い訳などを伴うこともよくあります。学習理論では「人はネガティブな感情の中では学ぶことができない」とされており、「残念」「申し訳ない」という感情を伴う反省からは、未来に役立つ学びが得られにくいものです。 それに対して内省は「結果」ではなく「経験」に価値を置き、未来を見据えるものです。「結果に関わらず経験したからこそ学べた。すべての経験は知恵に変えられる」という考え方が前提にあります。特に、失敗は大きな学びになることが多いため、常にポジティブな気持ちで振り返る姿勢が大切です。 もう1つ、内省と似た言葉に「内観」があります。これは仏教に由来するもので、自分の心が思考や行動に与える影響を自ら観察することです。手法に違いはありますが、以下にご紹介する「メタ認知」(自分が認知していることを認知する)に重きを置く点では、内省と多くの共通点があります。