内省(リフレクション)とは?自身の成長とビジネスに生かせる「振り返り」の技術
内省はVUCA時代に重要な力
内省=「リフレクション(振り返り)」は、経済産業省の「人生100年時代の社会人基礎力」においても、あらゆるスキル習得の前提となるものとして注目されています。 かつて「前例」が通用した時代は、PDCA(計画・実行・評価・改善)を回せば成果が上がりました。しかし、変化のスピードが速く先が見通せない「VUCA」と呼ばれる現代は、課題解決に加えて、前提そのものを疑い、新しい答えを自らつくりだすことも求められます。 例えば、仮説(Anticipation)を持って行動(Action)し、内省・振り返り(Reflection)をしてまた仮説に活かす「AARモデル」で、アジャイル的にスピード感を持って成果を出していくことです。こうしたビジネスの新しい行動様式では、内省が重要な役割を担います。 ◆内省のメリット 内省を習慣化することは、ビジネスにどう役立つのでしょうか。 例えば、自身の弱みや違和感を内省することで、大切にしたいのに満たされていない価値観が明らかになると、「ありたい姿と現状のギャップを埋めたい」という強い内発的動機=「クリエイティブ・テンション」が生まれます。クリエイティブ・テンションが高まると、人はより創造的になりますが、これは今まさに求められている「自律型人材」(自ら定めた目的を実現するために学び続ける人)の姿です。 組織など第三者の意思ではなく、自分の意思で自分を主体的にドライブするには、内省がカギとなるでしょう。 また、仕事に課題があるときも、経験から学ぶ内省を行うことで、今の課題を生み出している自分の思考に気づくことができます。それにより課題が再定義され、取り組むべき事が明確になります。 内省の習慣化で、ものの見方や学ぶ力をアップデートしていけば、変化に柔軟に対応でき、新たなスキルや知識も自分のものとして取り入れやすくなるでしょう。 ◆内省しないことのリスク 内省しない人は、過去の成功体験にしがみつく傾向があります。変化の激しい現代は、同じ方法で同じ成功が得られる可能性はどんどん下がっています。過去の成功体験を手放すにしても、その体験から形成された価値基準のうち、何を手放すかを確認する作業が重要であり、そのためには内省が必要なのです。 また、せっかく実績を積んだ人でも、振り返りをしなければ自分が経験を通じて得たノウハウや知恵を言語化できず、人に伝授することができません。人を育てられなければ、いつまでも自分の業務に追われて新しい挑戦ができず、組織と自身の進化や成長も止まってしまうでしょう。