技術力とアイデア力で、国内のくつ下製造を支える「SOUKI」
“SOUKIでしかできない体験”で自社の価値を生み出す
ーOEMだけでなく、自社ブランドの製品も作られていますね。自社ブランドは、いつから開始されたのでしょうか。 2014年に法人化したのと同時に、自社ブランドの事業部を作りました。弊社で展開しているブランドは「SOUKI SOCKS」「Re Loop」「aiamn」3つでしたが、去年新しく「SUNNY&SNOWY」というブランドも立ち上げました。 ー自社ブランドをスタートしてから、稼働率は上がりましたか? そうですね。OEMの売り上げは、もう10年ほど大きな変化はないのですが、自社ブランドの売上比率は45%ほどになってきました。粗利は倍違います。 また、ブランディングやWebサイトの作成など、新しいことにも挑戦していて。こういったことにお金をかけている靴下工場は少ないのですが、社内で行うのが難しいので、費用をかけて外部と提携しながら取り組んでいます。 ー自転車と編機を融合させた機械「チャリックス」で靴下を編むワークショップも行われていますね。どのようなきっかけで企画されたのでしょうか。 自社で企画・製造した商品を販売するために、どうやったら弊社のことや産地のことを知ってもらえるかを考えていたんです。やはり弊社の強みは作ることなので、実演販売のように作るところを見せたいなと。 また、これほど物や情報が多い世の中で、皆さんの記憶に残る、「また買いたいな」と思ってもらえるブランドになるには、弊社でしかできないことに取り組む必要があるなと考えました。 だからこそ、弊社の得意とするローゲージソックス作りを体験してもらいたいなと。「チャリックス」を通して、糸を組み合わせることで生じる履き心地の違いや、一般的な靴下との糸の違い、ローゲージの特徴を伝えたいと思っています。
ー使う糸は、お客様に選択してもらっているのでしょうか? 36色の中から、3色を選んでいただいてます。選んでいただくのは、色が付いている綿の糸なのですが、編む際には生成りのシルクの糸と和紙の糸を必ず1本入れてあるんです。 生成りの糸が入っているので、3つとも同じ色を選んでいただいても1色にはならず、ミックス調になります。トータルで約8,000通りの組み合わせがあるので、お客様それぞれのオリジナルの靴下が出来上がるようになっています。 工場ではお客様自身でチャリックスを漕いで靴下を編んでいきますが、「チャリックスONLINE」では、お客様にチャリックスを漕ぐスタッフ(社長、専務、会長、店長)をご指名いただくようにしているんです。 選べるようにした理由は、もっと工場を身近にしたかったから。会いに行けるアイドルがいるんだとしたら、会いに行ける職人がいてもいいなと考えました。 ー素敵な思いが詰まったワークショップですね。自転車を使おうと思ったきっかけは、何だったのでしょうか? 弊社は、古くて希少な機械を使って物作りをしているという特徴もあります。そのような技術をなんとか残していきたいし、知ってほしい。それをどうやって伝えようかなと考えたときに、見てもらうのが一番だなと。 ただ、工場にある機械はかなり大きくて、これを百貨店などに持ち込むのはなかなか難しいですし、工業の機械は200Vと動力の問題も生じます。 持ち運びやすい小型の機械を探していたときに、ハンドルを回して靴下を作る機械を見つけたんです。それを見て、自転車の回転と同じだなと思ったことが「チャリックス」を作るきっかけになりました。 ーアイディアを実現するまでに、苦労はありましたか。 父がロードバイクをやっていて職人歴も長かったので、「溶接で編機とつなげられるんじゃないか。できたら面白いね」と、話はスムーズに進んでいきました。私たち自身が回す必要がなくなりましたし、他に同じことをしている企業もないので、体験にもいいねと。 チャリックスができたのが、「モノからコトへ」とよく言われていた頃だったので、自社でしかできない“こと”を提供するいいタイミングでした。 ー実際に体験されたお客様の反応はいかがですか。 リピーターさんになってくれる方が多く、「SOUKIの靴下が3足あれば、1年は靴下を買わなくていい」と言ってくれる方もいます。 また、ローゲージソックスは汗を吸ってくれるので、「靴が臭くならなくなった」と言ってくれる方も多いです。新しい靴を買ったときは、ぜひローゲージソックスも一緒に買ってみてください。