技術力とアイデア力で、国内のくつ下製造を支える「SOUKI」
自社でつないできた技術を生かして
ー出張さんが考えている、広陵町の課題は何かありますか。 奈良県は観光需要が非常に高いのに、観光消費はいつも最下位なんです。宿泊できるところが少なく、せっかく奈良に来ても、すぐ大阪や京都に人が流れてしまうからです。 また、今治ではタオルを売っているし、児島にはジーンズストリートがある。広陵町は靴下の街なのに、今までそういったものがなかったのでもったいないなと思っていました。 ただ、修学旅行生は奈良に必ずというほど来ます。これは強みですし、「靴下の生産量日本一」という看板もあります。お客様に来てもらえるように、広陵町の靴下産業をうまく生かしていきたいです。 ー靴下業界としての課題は、何かありますか。 靴下業界もコンピュータ化が進んで多品種を製造しやすくなったり、企画やブランディングなどに対応できるスキルがついたりしてきていますが、業界全体を見渡すと職人や内職の方の高齢化が進んでいます。後継がいない問題もあるので、衰退は止められないのではないかと思っています。 綿・リネン・シルクなど、原料は基本は海外のものです。今は製造で使う機械メーカーも日本にはなく、海外製ばかり。海外のほうが先進的な機械を使っているほどです。 私たちは、「日本製ってなんだろう」「何をもって日本製と言えるのだろう」と、ひたすら考えながら作っています。 弊社が使っているようなローゲージの機械は、非常に特殊なものになってきています。ただ、この古い機械を使い続けているということ自体が、その技術を保持できているという他にはない強みになります。 だからこそ、弊社が掴めるニッチなチャンスもあるのかなとは思っています。 ー最後に、今後の展望を教えてください。 自社ブランドをもっと広げていきたいです。もちろん、OEMをやめるわけではないんですが、機械がない、職人さんがいないなどの問題もあるので、生産性をどのように上げていくのかも考えないといけません。 ただ、広陵町は「物価が少し安くて、子育てしやすい町」と言われていて、人口が増えてきているんです。小学校はクラスが足りなくて増設もしていて、若い世代の人も子どもも増えているのに、産業が衰退しかかっているのはおかしいなと。 働き盛りの人たちが地元で働けたらいいなと思うので、働きたいと思ってもらえるような改革もしていきたいです。そこまで大きな工場ではないですが、機動力とアイディアを武器に、これからも続けていきたいです。