技術力とアイデア力で、国内のくつ下製造を支える「SOUKI」
ー御社で製造している靴下について、教えてください。 弊社が得意としているのはローゲージソックスです。ローゲージソックスとは、太めの糸で編んでいる、編み目がざっくりとした靴下のことです。 靴下業界では、ニットなどで使うゲージ(一定寸法中の編み目の数)では言い表しません。靴下は筒編みなので、1周に何本針が入っているかという「針数」で表します。針が多ければ多いほどハイゲージ、少なければ少ないほどローゲージになります。 製造しやすいことから、流通が一番多いのはミドルゲージです。ミドルゲージの針数は、おおよそ1周130~160本になっています。 ー針数の違いによって、出来上がる靴下にどのような違いが生じるのでしょうか。 通気性が異なります。みなさん、夏は薄着になるので靴下も薄手のものを選ばれるんですが、ハイゲージのものは編み目が細かく、密閉されているので通気性が悪くなります。 つまり、ローゲージの分厚い靴下のほうが蒸れにくいんです。繊維の種類も関係しますが、生地としても編み目が粗いほうが通気性がよくなります。 私は、家業に就いてローゲージの靴下を穿き始めたら、無意識のうちに毎日履くようになりました。夏は蒸れにくく、冬は暖かい。厚みがあるので、なかなか穴も開きません。ローゲージソックスは、とてもいい商品なんだなと気付きました。 ー製造する難易度は、針数によって変わりますか? ローゲージは難しいのですが、そこまで大きくは変わりません。ただ、一般的にミドルゲージやハイゲージの靴下が多い背景には、コストや生産効率の違いも関係しています。 太い糸を使うローゲージは重く、細い糸で軽く作ったもののほうが価格は抑えられるんです。同じ糸を使う場合でも、針数によって定価が変わってきます。 また、ローゲージで使う針は太く、鉄でできているのでなかなか折れません。高速で動かすと、針が折れるよりも先に機械が欠けたり、故障したりしてしまいます。 機械をゆっくりと動かさなければならないので、高速の機械を使っている工場で1日220足の靴下を作れるとしたら、ローゲージはその半分程度しか作れないんです。 ただし、針が太いからこそ細い糸をたくさんかけることも、太い糸を1本だけかけることもできます。つまり、異素材の糸や表情の違う糸を混ぜながら、オリジナルの糸で靴下を作れます。 市場的には高速で動かせる機械のほうが多いのですが、弊社は小さな会社だからこそ、よりニッチなことに取り組もうと思っています。