RIZIN大晦日決戦で朝倉未来と戦う筑波大学院卒の異色サラリーマンファイターが語る「番狂わせを起こす条件」とは?
総合格闘技イベント「RIZIN.26」(大晦日・さいたまスーパーアリーナ)での注目カードのひとつが人気YouTuberでもある朝倉未来(28、トライフォース赤坂)と前DEEPフェザー級王者の弥益ドミネーター聡志(30、teamSOS)との一戦だ。11月21日に大阪で行われたRIZINフェザー級王座決定戦で斎藤裕(33、パラエストラ小岩)に敗れた朝倉にとっては絶対に負けられない再起戦。対するドミネーターは筑波大大学院卒の大手食品メーカー勤務という異色ファイター。その“格闘IQ”をフル回転させて“番狂わせ”を起こす秘策を練っている。
「(朝倉には)最大限に油断していただきたい」
曲者だ。クリスマスイブに公開したスパーリングでは、右構え、左構えとスイッチを繰り返すトリッキーな動きに加え、リフトされた後にゲージをつかんでテイクダウンを回避するなどの反則行為も見せて「レフェリーが止めなかったのでいいかな」と、不敵な笑いを浮かべた。9月のタイトル戦でDEEPフェザー級のベルトを僅差判定で失ったが、そこまで8連勝していた打撃、組み、寝技のすべてOKのトップファイター。何をしでかすかわからない“幻惑殺法”がドミネーターの魅力である。 「動いて(朝倉に)的を絞らせないで、自分の攻撃をその中に隠したい」 保守的にならずにアグレッシブに攻撃することを明かしている朝倉にとっては厄介だろう。そして、その朝倉が、路上ファイトの原点に戻ったような喧嘩スタイルを宣言しているのもドミネーターにとっては好都合だ。 「本当に喧嘩をしに来て1ラウンドから倒しに来る戦いをしてくれるのであればありがたい。望むところ」 受けの展開になれば得意の“格闘IQ”を駆使しやすい。 筑波大大学院卒。大学院では細胞生物学の研究をしていた。理系ファイターである。 「モノを考えるのは昔から好きで、それが格闘技に生きている。考えない人は強くならない。考えることが出来る事は格闘技の成長に必要不可欠。学歴ではなく頭がいい人が(強いファイターの中に)いる」 秘策はあるのか? そう質問すると「1週間で考える」とはぐらかした。 朝倉も相手の癖や弱点を見抜く戦略家ではあるが、ドミネーターも負けず劣らずの策士である。朝倉の過去の映像を見直して、その戦いをこう分析した。 「モチベーションという言葉が正しいのかわからないが、試合での振る舞いが(モチベーションによって)違う。やっている事は一緒だが、身体のコンディションではなく、気持ちの問題で、クオリティに差が出るタイプという印象を受けた。自分の時は最大限に油断していただきたい」 鋭い分析だろう。RIZINフェザー級王座決定戦で斎藤裕に0-3の判定で敗れた朝倉は、格闘家としての戦うモチベーションを失いつつあった。YouTuberとして巨額の富を稼ぎ、ハングリーさをなくし、どこかで斎藤裕を舐めていた部分もあった。そのメンタルが追い詰められるまでエンジンをかけず、後一歩を攻め込めないファイトとなって反映されてしまったのである。