「箱根駅伝は分かりません! 黒田が12位です」テレビ実況も“ダマされた”…青学大2区・黒田朝日“12位からの大逆転劇”、記者が見た「最強留学生への戸惑い」
往路優勝のインタビューで、青山学院の原晋監督はツッコミを入れた。 「1区とか、3区とか!」 【現地写真】「めっちゃ仲良さそう…」青学大黒田くん・若林くんのハグ&「左手薬指キラリ…」青学大エースの“婚約指輪”などすべて見る 出だしの1区の宇田川瞬矢は区間10位のスタート、そして出雲1区、全日本2区で区間賞を獲得し、「箱根でも区間賞!」と意気込んでいた3区の鶴川正也は区間4位に終わった。 必ずしも、想定していたような展開ではなかったのだ。しかし、2区の黒田朝日、4区の太田蒼生が流れを作って、5区の若林宏樹が総合優勝に「当確」のランプを灯らせた。 特に黒田の走りには、感心した。
“12人抜き”エティーリ・ファクター
今回の2区は、先頭の中央大から1分48秒差、14位でスタートした東京国際大のエティーリの爆走による「エティーリ・ファクター」によって、各校のエースが翻弄される形となった。 エティーリが後方から追い上げてきた時に、ある程度ついていくことを選択したのは、国学院大のエース平林清澄と、駒澤大の篠原倖太朗だった。 一方、青学大の黒田は自分のペースを守ることに専心した。彼のコメントがそれを裏付けている。 「前回と比べて、集団のスピードが速いなと感じていて、自分は後半の坂から行ければいいかなと思っていました」 エティーリ・ファクターにまったく動じない、このマイペースぶり、冷静な目。これが黒田の強さである。
テレビ実況「箱根駅伝は分かりません。黒田が12位です」
私は黒田がレースで外したのを見たことがない。競馬用語でいうならば、絶対に「連対」を外さない。それは彼が「自己査定能力」に優れているからだと思っている。 黒田にインタビューすると、常に彼の現在地を知ることが出来る。 自分の実力を盛ることもしないし、過小評価することもない。いつも自分の状態をストレートに話してくれる。たとえば、「去年と同じ練習をして、同じタイムだったとしても、走り終えての余裕度があるので、去年より強くなっていると思います」といった具合で話す。 足し引きゼロ。そのまま。今回の2区での目標も、 「前回が1時間06分07秒だったので、5分台に突入して区間新が出せたらいいなと思っています」 と話し、その言葉通りに1時間05分44秒の区間新での区間3位。 途中、走行順で12位に後退したとき、テレビの中継では「箱根駅伝は分かりません。黒田が12位です」という実況があったが、前回同様のレースマネージメントをしているだけで、慌てることはなく、2区が混戦となって、かえって黒田のスマートさが光る展開となったのだ。
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