「いつも」と「もしも」を賢く両立 防災のプロ2人が語る、フェーズフリーな暮らし
楽しみながら「24時間チャレンジ」
【マミ】"いつも"の暮らしに使っているもので、"もしも"のときに備えるという、フェーズフリーの考えのもと、奥村さんが、おうちでご家族と一緒に試されていることってありますか? 【奥村】自宅で「ライフラインが止まってしまった」という設定で1日を過ごす"24時間チャレンジ"を、息子と一緒にやってみたことがあります。暑い夏など、季節によってはおすすめできませんが、電気・ガス・水道を使わずタンクに溜めた水を使ったり、カセットコンロでご飯を炊いたり。息子は冷たい水で身体を洗うのは「ちょっとつらいね」と話したり、ご飯を作るのは「楽しかった」と喜んだり、彼なりに感じたことがあったようです。ゲーム感覚でやってみると、お子さんも楽しく体験できると思いますよ。 【マミ】私も、家でテントを張ってキャンプをすることがありますね。コロナ禍では"おうちキャンプ"というキーワードが流行したのもあって、同じくカセットコンロでバーベキューを楽しみました。アウトドアでキャンプをするときは、「いつも使っているモノ」がない、という設定で、じゃあ何を代わりにできるか、を一緒に考えます。コレじゃなきゃいけないと思っているものでも、案外こっちでもイケるかも、と思いついたときはうれしいです。
何が必要かは、人それぞれ
【奥村】人は習慣の生き物なので、毎日していることができなくなること自体がストレスになるんですよね。お薬を飲んでいる人は、それがないと健康や命のリスクがあるし、喫煙や晩酌の習慣がある人だって、それが手に入らない避難所生活は非常につらい思いをします。コレはいらない、コレは贅沢だと他人が決めるものではなく、何が必要かは、その人による。防災とは「カスタマイズ」なのだと思います。 【マミ】子どもの場合は、成長に合わせて必要なものが変わっていきますよね。いまはこのミニカーがあれば、しばらく落ち着いて遊んでいるけど、来月には興味が別に移っていてミニカーはもういらなくなるかもしれない。子ども用の防災バッグを見直すとき、「いま、この子にとって何がベストか」を考える......。やっぱり防災の基本って、自分や家族の、その暮らしや相手のことを考えるところにあるんですね。 ※この対談は、第3回へ続きます。
奥村奈津美(防災アナウンサー),マミ(CAMMOC)