「いつも」と「もしも」を賢く両立 防災のプロ2人が語る、フェーズフリーな暮らし
好きな食べ物で、もしもに備える
【奥村】防災って、フェーズフリーじゃないとつづかないと思っています。「これが防災グッズで、これが非常食......」と意識して買ったものは、どこかにしまっておくことになりませんか? いざというときその場所が思い出せなかったり、賞味期限が切れていたりします。 【マミ】形だけのものになりますよね。つづかないし、活かせない。 【奥村】ローリングストックという言葉はだいぶ浸透したと思いますが、それでも非常食を備蓄しながら使っていくというイメージが強そうです。人によって食生活はまったく違うし、好き嫌いもあるので、「これを買ったら、誰にとっても絶対に大丈夫!」という非常食はないですよね。たとえば、うちの子はアルファ化米が苦手です。じゃあ非常時になったら食べてくれるかというと、それはきっとありません。だから日ごろ子どもが食べているものを、少し多めに購入して備蓄していくんです。 【マミ】私も以前は、安いからという理由だけで大容量パックを買って備蓄していたのですが、食べる気にならないうちに賞味期限が過ぎてしまって。最近のお気に入りは、カルディでちょっと贅沢だなと思う食品を買うことです。「これだと日持ちするし、非常時も食べられるから!」と買っておいて、食べるときも「ローリングストックだから!」と......自分への、いい意味での言い訳になりますしね(笑)。 【奥村】災害時で体調が悪くなったり心が疲れてしまっているときって、食べたくないものは本当に食べられません。はじめて食べるものが口に合わなかったり、お腹を壊したりすることもあります。自分が好きなものや、おいしいと感じられるものを食べて、ようやく元気になれるんです。私は"プラ1(イチ)備蓄"といっているのですが、好きなものを1個多く買っておいて、1個食べたら1個買い足す。2個目の賞味期限が切れる前に食べ終えて、新しいものと交換できるものだけ備蓄する。そんな感じで、私も楽しく備えています。