円安下の海外留学「脱米国」の動き “日本は縮小傾向”変わる親の意識 #生活危機
こうした状況のなか、留学相談ではある変化が見られるという。「どうしても米国へ行きたいという人はやはり一定数いますが、いまのインフレや円安、学費値上げなどを鑑みると無理もできない。そこで期間や行き先を変えるという動きです」 たとえば、留学期間を1年間から半年間に短縮するケース、あるいは、留学先をロサンゼルスやニューヨークなど都市部の大学から中西部など地方の大学に変更するケース。どちらも学費や滞在費を節約することで「米国留学」を実現するための工夫だ。 米国以外の国を留学先として検討する動きもある。いま広がっているのが、欧州やアジアの国々への留学志向だ。
欧州やアジア圏に留学先を変更する学生も
昨年11月のある土曜日、東京・市谷の法政大学には、高校生や大学生、彼らの保護者らが大勢駆けつけた。目的はキャンパス内で開催された「欧州留学フェア2022」。ドイツやオーストリアなど欧州各国の駐日大使館がブースを並べ、留学希望者の相談を聞く場が設けられた。
西洋美術史に関心があり、英国の大学への留学を希望していた都内の高校1年生男子は「話を聞いて英国より学費の安いオーストリアとハンガリーに興味を持ちました。英語で受けられるコースがあるのも魅力です」と話した。一緒に来た父親は自身も英留学経験を持ち、現在はメーカーで外資系企業への営業を担当するが、息子にも英語力を生かせる仕事に就いてほしいと願う。「日本市場は縮小傾向。海外で職を探しても構わないと考えています」 英国で初等教育について学びたいと考えていた別の都内の高校2年生女子も、やはり学費がネックで、留学先をオランダ、フィンランドへ変更することを検討中だという。同伴していた母親は娘の留学への固い意志を踏まえつつ語る。「コロナ禍でやりたかったことがなかなかできなかったようなので、その分、応援したい気持ちはあります。ただ、円安や物価の高騰もありますし、負担が少ないほうがいいのかなとも思います」