「楽しさと満足感を保証」の線路上のレストラン、「2回目の朝食」も可能? 食堂車の料理も高評価、カナディアン乗車記③「鉄道なにコレ!?」【第59回】
ところが、エビとのハーモニーを楽しみにしていたホタテの貝柱は見当たらない。同じ料理を頼んだ女性に「ホタテはありますか?」と尋ねると、「私もないと思ったのよ」と首をかしげている。 そこでウェイターに言うと、「あれ、串焼きに入っていませんでしたか?」と不思議がられた。私たちの会話を聞きつけた近くのウェイトレスが「納入業者が変わり、エビだけになったんですよ」と説明した。 ウェイターは「今初めて気づいた」と苦笑い。次の日の昼食時にはメニューを配布後、「メニューにある『エビとホタテ』は、エビだけに変更されました」と口頭で注意を呼びかけられるようになった。 ▽カナダの医療従事者不足は「もしトラ」ならぬ「ほぼトラ」が救う? 3日目の朝食ではアルバータ州カルガリーの実家に帰省する東部ケベック州モントリオールに住む男子学生と、米国ニューヨークの看護師と同席になった。メニューの選択肢は五つあり、オムレツ、卵料理とベーコンなどのセット、ヨーグルトとトーストなどの盛り合わせ、ワッフル、ビーガン向けのハッシュブラウンがあった。私が頼んだのはオムレツで、チーズの味がよく利いていた。
看護師の男性が「僕は(米国西部)カリフォルニア州の出身で、大陸横断列車に乗りたいと思っていたので今回この列車に全区間乗ることにしたんだ」と話したのに対し、学生は「僕の母親も看護師で、カナダでは地方での医療従事者の人手不足が深刻なんだ」と応じた。 その上で「もしもドナルド・トランプ(前米国大統領)が米国大統領選で勝利すれば、前の在任中のようにカナダに移住希望者が押し寄せて医療従事者が増えるのかもしれないけれども」と冗談めかして語った。 看護師は「看護師はともかく、医師は破格の待遇を受けているからトランプ氏が大統領に復帰しても自分の職位を捨てることはないんじゃないかな」と推察した。 今や大統領選ではトランプ氏が野党共和党の指名を確実にし、民主党候補となるジョー・バイデン大統領を多くの世論調査でリードしている。もしかしたらトランプ氏が再選されるという「もしトラ」にとどまらず、ほぼトランプ氏が選ばれそうだとする「ほぼトラ」との予想も一部あるが、その場合には果たして人手不足にあえぐカナダの医療現場にとって干天の慈雨になるのだろうか。