「楽しさと満足感を保証」の線路上のレストラン、「2回目の朝食」も可能? 食堂車の料理も高評価、カナディアン乗車記③「鉄道なにコレ!?」【第59回】
▽パーティーの来客のようにもてなす 昨年12月の冬休みに高校生の息子とともに寝台車を予約して全区間乗ったカナディアン。2両のディーゼル機関車が旧型ステンレス製客車を引いており、後ろから3両目に連結されているのが1955年に製造された食堂車「8404号」だ。付けられている愛称の「アナポリス」は、カナダ東部ノバスコシア州の地名に由来する。 食堂車はテーブルごとに4席、計48席を備えており、横長の窓からの風景を楽しみながらこだわりの料理に舌鼓を打つことができる。車両内には調理用の台所も備えている。 寝台車の利用者は食事料金が含まれており、一緒に飲み物も注文できる。ただ、アルコール類は最上級クラス「プレスティージ寝台車クラス」(本連載第58回「『走るホテル』の最上級クラス、110万円払って乗り込むVIPたちの正体は…」参照)の利用者以外は別料金だ。夕食ではデザートにケーキが振る舞われる。
食堂車を担当する勤務歴約27年のサービスコーディネーター、ショーン・ピジョンさんは「私は全ての利用者を、パーティーの来客のように歓迎してもてなしている」と打ち明ける。「食事の機会に新たな出会いが生まれるといいとの思いから、できるだけ同じテーブルに他の人と同席してもらっている」と気配りもぬかりなく、おかげで多くの乗客と会話を楽しむことができた。 ▽最初の食事「あれ?ホタテが見当たらない」 乗車中の最初の食事となったのが、オンタリオ州を走行中の1日目の昼食だった。予約していた午前11時半に赴き、西部アルバータ州の息子さんの家へ向かうというトロント在住の女性らと同席した。日替わりスープに続いて提供されるメーン料理は「エビとホタテ」、ブタ肉を低温でじっくり火を通した後にソースをあえたプルドポークのサンドウィッチ、パスタ、ベジタリアン向けハンバーガーの4択だ。 「ご注文の料理の『エビとホタテ』です」とウェイターが持ってきた皿には、エビを5つ刺した串焼きが2本載っていた。エビはかけられたバルサミコ酢がほどよい酸味を利かせており、五大湖の一つのヒューロン湖を見渡しながらの味は格別だ。