「楽しさと満足感を保証」の線路上のレストラン、「2回目の朝食」も可能? 食堂車の料理も高評価、カナディアン乗車記③「鉄道なにコレ!?」【第59回】
▽早めのブランチで空腹…余裕だった男性の秘訣は映画の台詞に 「最後の晩餐」となる4日目の夕食は、不覚にも前の食事から半日空いた午後9時に予約していた。この日は朝食ではなく昼食を兼ねた「ブランチ」という設定で、午前9時半から午後1時までの好きな時間に訪れる仕組みだった。午前9時半のオープン直後に行って注文したオムレツは美味だったものの、量は朝食とは大差ないため夕食前には空腹になっていた。 夕食のテーブルで一緒になったアルバータ州エドモントン在住の心理カウンセラーの女性が「朝食が早くて昼食はなかったので、展望車両に置いてあったビスケットを食べてしのいだわ」と打ち明け、息子と私も「私たちも同じ状況でした」とうなずいた。 すると、同席したアルバータ州ジャスパーに住むカナダ国立公園局(パークス・カナダ)元職員の男性は「そうなんだ」と余裕の表情を浮かべている。「あなたはどうしたの?」と女性が質問すると、男性は「『ブランチ』と言っているのだから、そういう時はブレックファスト(朝食)とランチ(昼食)の2回行けばいいんだよ」と得意げに答えた。
女性が「つまり朝と昼の2回食堂車に来て、どちらもブランチのメニューを注文したということ?」と確認すると、男性は「そういうこと。1回目は朝食のために午前9時半に来て、2回目は昼食を取るために午後1時に再訪したんだ」と説明した。 男性は「別に注意されることもなかったよ。だって、映画『ロード・オブ・ザ・リング』では『2回目の朝食はないの?』という台詞が出てくるじゃないか!」と続けて笑った。確かにロード・オブ・ザ・リングでは道中にピピンがアラゴルンに「朝食は?」と尋ね、アラゴルンが「食べただろ?」と返すと、ピピンが「1回だけしか食べてない。2回目の朝食は?」と食い下がる場面がある。 ▽絶品のラムチョップは「世界中の食堂車で最高」 ただ、夕食のメーンディッシュで食した生後12カ月未満の仔羊の骨付きのロース肉を調理したラムチョップは、空腹で待ち焦がれただけの甲斐があったと思わせるほどの絶品だった。世界中で鉄道旅行を楽しんできたという男性も「カナディアンのラムチョップは食堂車で食べた中で最高だった」と絶賛した。