森友問題「赤木ファイル」開示 妻が会見(全文1)安倍氏も麻生氏も夫を切り捨てた
国は争点とは関係がないなどとして、開示を拒み続けた
私はやむを得ず、夫の死後2年経過した2020年3月18日に遺書や手記を公表しました。また同じ日に夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして事実を公的な場所で説明することを望んでいた夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを被告とする裁判を始めました。 裁判では最初から公務災害となった理由が記載された文書や、夫が改ざんの経緯をまとめたとされる「赤木ファイル」の開示を求めました。しかし国は争点とは関係がないなどと回答し、開示を拒み続けました。 私は2020年4月13日、近畿財務局に対し、公務災害の理由が記載された文書の情報開示請求をしました。しかし1カ月後の5月13日に開示されたものは、年金の金額や支払いなどが書かれた10ページの文書でした。残りの文書については、新型コロナを理由に1年後の2021年5月14日までに開示決定をすると書かれていました。1年も先延ばしにされることが信じられませんでした。 私は夫の死の真相を明らかにするため、第三者委員会による再調査を求める電子署名を始めました。電子署名には53万人を超える方々から賛同の署名をいただきました。電子署名は2020年6月15日に安倍元首相や麻生財務大臣へ提出しました。しかし安倍元首相も麻生大臣も、すでに検察の捜査も済んでいるので調査しないと夫のことを切り捨てました。でも検察の捜査は刑事処分のためのもので、真相解明の調査とは別のものです。また、再調査される側の人間である麻生財務大臣が自ら再調査はしないと言い続けるのはおかしいと思いました。 女性:署名は35万。 赤木:そうです。 女性:今は38万になりました。
知らない事実がたくさん記載されていた
赤木:公務災害を認定した理由が記載された文書は2020年12月7日、国から証拠として提出されました。夫の死が公務災害となった理由は長時間労働などが原因とされており、改ざんのことは一切書かれていませんでした。また「赤木ファイル」は一昨日である2021年6月22日、国から証拠として提出されました。私は「赤木ファイル」を見て、手書きの字が夫の字だとすぐに分かりました。夫が苦しい立場に追い込まれながら「赤木ファイル」を残してくれたのだと思うと涙が出そうになりました。 「赤木ファイル」には私の知らない事実がたくさん記載されていました。夫が具体的な説明もなしに、反対をしても一方的に改ざんを指示されて苦しんでいたことが分かりました。また佐川さんから国会答弁を踏まえた修正を行うように指示があったという記載もありました。しかし「赤木ファイル」を見ても佐川さんの指示がどのように夫まで伝わったのか、その具体的な経緯は明らかになっていません。 麻生財務大臣は「赤木ファイル」が出てきてもまだ再調査はしないとおっしゃっています。とても残念です。麻生財務大臣は部下である夫が死に追い詰められて3年以上たつのに、仏前に手を合わせることもなく、再調査を提案することもなく、辞任もせず、財務大臣を続けています。私はこのような麻生大臣の振る舞いをまったく理解できません。もし部下のことを思う心があったなら、二度と部下が同じような死に追い詰められないように、なんらかの行動を起こすべきではないでしょうか。 私が今一番望むことは、なぜ夫が死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにすることです。「赤木ファイル」には一部ですが決裁文書の改ざんの指示に関するメールが含まれていました。しかし改ざんを主導した佐川さんや、理財局内部のメールは開示されていません。夫のような死が二度と起こらないようにするために、国は第三者委員会による再調査を行い、理財局内部のメールも含めて調査をし、事実を細部まで明らかにして、未来への教訓にするべきではないでしょうか。以上です。