森友問題「赤木ファイル」開示 妻が会見(全文1)安倍氏も麻生氏も夫を切り捨てた
若干法的な観点から補足
司会:じゃあ、生越先生、お願いします。 生越:弁護士の生越です。よろしくお願いします。私のほうから、若干法的な観点から、今の赤木雅子さんのお話を補助したいというふうに思います。まず、神保さんからご指摘を先ほど受けたのですけれども、まず改ざんという言葉が何を示すか、少しご説明をしたいと。この森友事件における改ざんというものは、国有地の売却、国が森友学園に国有地を売却するために、その経緯であるとか、買い主である学園のさまざまな情報を、近畿財務局が収集しました。その国有地の売却の価格が、最終的には非常に低い金額での売却が行われました。 その際に、売却の際に先ほど申し上げた、収集した文書の中に、自民党の国会議員であるとか、安倍元首相の妻の氏名などが含まれていました。その結果、安倍首相が国会において、元首相が国会において、この売却に自分も妻も関わっていたのであれば、総理大臣を辞めるという答弁を行いました。 その発言を受けて、財務省の幹部たちは、自民党の国会議員の氏名であるとか、あと、安倍首相の妻の氏名であるとか、そういうものを含めた改ざんを、文書の改ざんを指示したというふうにされています。さまざまな形の改ざんが行われましたけれども、一番分かりやすいのは、そういう、先ほどお話しした氏名を消す、関与をした事実を消すという行為が行われました。ここまでが改ざんに関するご説明です。 あとは少し、法的な観点から若干、数点、3点コメントをさせていただきたいと思います。まず、赤木雅子さんのこの訴訟は、過労死としての側面があるというふうに考えています。近畿財務局で勤務していた赤木俊夫さんは、先ほど申し上げた決裁文書の改ざんであるとか、長時間労働、連続勤務などによって鬱病を発病して亡くなりました。
立証のめどがある程度立った
そこで原告の赤木雅子さんは、俊夫さんの死が過労死だとして、国に対して損害賠償請求を行っています。過労死の事件では、法的要件との関係で、俊夫さんが仕事から受けた心理的負荷の強さが重要となります。しかしおとつい、いわゆる「赤木ファイル」が国から提出されたことによって、この点についての立証のめどがある程度立ったというふうに今は考えています。 2つ目は、決裁文書の改ざんを指示したとされる元理財局長である佐川宣寿氏の、個人の責任を追及しているという点です。実は現在、日本の最高裁は、公務員に故意・過失があったとしても、公務員には個人責任を追及できないという立場を取っています。これは、公務員が個人責任を負うと、損害賠償請求を恐れて萎縮してしまって、公務の円滑な遂行を妨げるからというふうにいわれています。しかし、どのような場合であっても、公務員が一切個人責任を負わないという結論は、妥当ではないというふうに考えます。ですので、弁護団としては、佐川氏の個人責任を追及するために、法的な理論構成も含めた準備を行っているところです。 3つ目は、行政の文書ですね。この取り扱いや、開示が問題となっている点です。そもそも決裁文書が改ざんされること自体、国民による政策のチェックや検証を不可能にしますから、議会制民主主義の国会を揺るがす行為であるというふうに考えます。また、この事件は情報公開制度という点からも重大な問題を提起しているというふうに考えます。日本の情報公開制度は、開示が原則であって、非開示が例外という構造になっています。しかし例外の幅が大きく、かつ開示する側の行政機関の裁量が大きいため、原則と例外が逆転しています。 俊夫さんの死が公務災害となった理由を記載した文書に即してお話をすると、私の経験上、弁護士としての経験上、同種の国家公務員の過労死の事件であれば、このような文章はほとんどマスキングされずに開示されるはずですし、開示されてきました。しかし雅子さんが情報開示請求をしたところ、開示された70ページの文章は、ほとんどマスキングがなされていました。