絶品料理とスイーツが大人気~老舗カフェチェーン「珈琲館」
低迷するカフェチェーンを次々と繁盛店にする戦略とは?
「珈琲館」の再生に成功した友成は2020年、「カフェ・ベローチェ」(全国164店舗)の買収に動く。それまで喫煙席が充実しているカフェチェーンだったが、業績が伸び悩んでいた上、屋内での喫煙を原則禁止にする法律もでき、客足が大幅に鈍ると見込まれていた。 だが友成は「持っている商品群とか使い勝手の良さは、たばこを吸わない人にも十分通用すると思った」と言う。 ポテンシャルを評価し、買収に踏み切った友成。ところが、その直後に新型コロナウイルスが猛威をふるい、売り上げの見通しが全く立たない事態に陥った。 「ギリギリなところで運営をやめるという決断もできたけど、勝算はありました」(友成) 「カフェ・ベローチェ」の客は多くがビジネスパーソン。仕事の合間に立ち寄ったり、デスクワークをしたい人たちのニーズがあった。そこで店内のコンセントを増設し、テーブルと椅子も低いものに変えることで、作業しやすい環境に改善。ビジネス客に向けフードメニューも刷新した。 「サイズ感も手軽なので仕事をしながら飲食できます」(銀座みゆき通り店店長・根本香織) 仕事をしながら片手で食べられるよう、ホットドックや、具材に趣向を凝らしたオリジナルのサンドを充実させ、サンドイッチも9種類に増やし、全て店内で調理。忙しいビジネスパーソン向けのメニューを充実させた。 こうして客のニーズを掴み、食事提供による客単価の大幅アップに成功したのだ。
まだコロナが収束しきっていない2022年、友成はまた赤字カフェチェーンの買収に打って出る。全国で約182店舗を展開する「カフェ・ド・クリエ」。元はサッポログループが運営していたカフェチェーンだったが、長らく業績不振で手放したところ、C-Unitedが名乗りを挙げたのだ。 もともと女性客が多かったことに目をつけた友成は、女性客を徹底的に伸ばす戦略に出た。 ブルーベリーやバナナなどフレッシュフルーツを使ったスムージーは朝食や軽食代わりになると大人気に。さらには糖質オフ麺のパスタなど、健康を意識したメニューに大幅リニューアル。女性客が多いという特徴をより強化したことで「カフェ・ド・クリエ」は息を吹き返した。 友成は客のニーズをとことん突き詰め、3つのカフェチェーンを立て直したのだ。 〇常識を超えた経営術2~社内の大学で独自の人材育成 友成が人材育成で大切にしていることがある。 「主に従業員同士の店舗を運営するにあたってのビジネスコミュニケーションのやり方を教えます。店のほとんどの問題がコミュニケーションから発生するから」(友成) そのために2022年に導入したのが「珈琲大学」。アルバイトやスーパーバイザーなど、職種ごとに独自のプログラムでトレーニングする社内の教育機関だ。 例えば店長の育成プログラムでは、アルバイトからの信頼を築くための戦略として「打ち解けること、しかし立ち入らないこと」などと伝える。他にも「上司と部下との友情は良いものか?」など、微妙な人間関係にまであえて踏み込んで教育している。 コミュニケーションだけでなく、コーヒーの知識や技術も指導。現場のスタッフだけでなく、全ての社員が授業を受けているという。 「コーヒーの知識を理解することで、採用面で社員といろいろなコミュニケーションが取れてやりとりが進められ、いいことだと思います」(人事部・鈴木慎太郎) C-Unitedは3つのブランドを合わせると今や業界5位まで躍進している。 「50年続いたブランドをあと50年続けるための分岐点に私は立ったと思います。だから古いものは大切にしながらも、現代にアレンジした成長をしていかないといけない」(友成)