「クビです」非情通告にダメ社員が"納得顔"で退社…そんな円満企業の管理職がひどく"親切"である深い理由
■武器としての「解雇」を使いこなそう 外資系企業では成果主義が徹底されており、業績が振るわない社員は解雇されることも珍しくありません。一方、日本企業では一度正社員として採用されると、よほどのことがないかぎり解雇はされないイメージがあります。 【図表】最後の手段だけど……働かない社員には解雇もある そのため、会社がモチベーションの低下した社員を抱え込むと、組織全体の活力が低下してしまうケースも少なくありません。会社側から解雇はできないからと「自分から辞職を言い出すように仕向けよう」などと、陰湿な対応をする職場もあります。 ですが、日本でも仕事をしない社員や、会社の求める業務を遂行できない社員には、解雇(普通解雇・懲戒解雇)を言い渡すことは可能です。職場の淀んだ雰囲気を排し、前向きに仕事に取り組むカルチャーを形成していくために、解雇は一つの武器になりえます。 もちろん、解雇は労働者の人生を大きく左右する重大な決断です。安易に行うことは許されず、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合にのみ有効となります。また、解雇予告や解雇予告手当の支払いなど、法的に定められた手続きが必要です。 それでも、世間で思われているほど、絶対にできないわけではありません。最後の手段として「その選択肢も取りうる」ということです。 私は社会保険労務士として多くの企業に職場環境改善のアドバイスをしていますが、ベースには「選択理論心理学」の知識があります。米国の精神科医ウィリアム・グラッサー博士が提唱した学問で、経営分野では「リードマネジメント」(LeadManagement)が応用できます。 リードマネジメントの最大の特徴は「事前対応」にあります。解雇を巡って争いごとになるのは、たいてい「事後対応」が原因です。私の事務所には「ダメな社員を解雇できないか」と経営者が相談にやってくることがあります。聞けば、 「本人が自ら気づいて“いつか改心してくれるだろう”と何年も我慢してきたけれど、いよいよ堪忍袋の緒が切れました。もう、あの社員を雇い続けることはできません」 と言うのです。これではトラブルは必至です。当該の社員は「自分は何年も真面目に働き貢献してきたのに、突然の解雇通告には納得できない」と反発するでしょう。 では「事前対応」が実践され、労使が納得ずくで退職や解雇に至るケースとは、どのようなものでしょうか。以下にお手本を示します。