F1ホンダ撤退後のレッドブルはどうなるのか?
1992年限りでホンダがF1活動を休止した際、ホンダのエンジンはその後も無限(現M-TEC)がメンテナンスしながら、ロータスやリジェなどに供給したという過去がある。無限は本田技研工業とは資本関係はなく、完全な別会社だが、創設者はホンダの創業者である本田宗一郎の長男、本田博俊であり、創設メンバーには、ホンダの第一期F1の主要メンバーで、のちに本田技研の4代目社長になる川本信彦もいたことから、ホンダのF1活動を引き継ぐ形で無限がF1活動を継続したわけだ。 ただし、今回はこの噂をホンダの山本雅史(マネージングディレクター)が「もし無限さんにお願いするのだったら、ホンダがそのまま続けています」と即座に否定している。それは、現在のパワーユニットの開発が非常に複雑で、その開発と現場での運用はホンダほどの規模を誇る企業でも簡単ではないからだ。 現在のパワーユニットの管理は走行中のデータを衛星回線で日本のHRD Sakura(栃木県さくら市にあるホンダF1の拠点)に送り、大型コンピュータで走行データを解析し、問題などがあった場合には即座に現場に連絡を入れるようになっている。こうした体制をとれるのは自動車メーカーぐらいしかない。 そこでレッドブル陣営が画策しているのが、 レギュレーションの変更だ。現在のパワーユニットは2025年まで、基本的に現行のレギュレーションのままとなっているが、2022年から20%のバイオ燃料を使用し、2023年から100%カーボンニュートラルな燃料を使用するという計画となっている。これは自動車メーカーのサポートがないと実現は難しい。これを新たなエンジンルールが導入される予定となっている2026年まで先延ばしにしつつ、現在は凍結されていないパワーユニットの開発を2022年以降、凍結しようという変更案だ。 このような変更が実現されれば、ホンダがF1から去った後も、レッドブルがホンダから譲り受けたパワーユニットを独自に、またはホンダ以外のメーカーと組んでメンテナンスしながら、レースを続けていくことは不可能ではない。 それにはホンダから知的財産を譲渡してもらう必要があるが、ホンダのF1活動を統括しているブランド・コミュニケーション本部の渡辺康治本部長は 「レッドブルから要請があれば、やれる範囲で協力していくし、できるだけ前向きに考えている」としていることから、あり得ない話ではない。