解散は五輪後? 迷走するコロナ対策 日本政治はウイルスに打ち勝てるか
「コロナ対策」や「政治とカネ」……支持率が急落
いうまでもなく、菅政権が直面している最大の課題は新型コロナウイルスの感染拡大である。率直に言って、菅政権のコロナ対策は迷走しているように見える。 菅首相は安倍政権の官房長官時代から「Go To 」キャンペーンを推進してきた。首相就任後もその方向は変わらず、10月には「Go Toトラベル」に、それまで除外されていた東京発着の旅行を追加した。ところが11月に感染が再び拡大し「第3波」の流行と見られるようになったため、11月下旬に札幌・大阪両市を目的地とする旅行を除外することを決定し、両市を出発地とする旅行の利用自粛を呼び掛けた。それでも感染拡大は収まらず、12月14日には、年末年始の間(12月28日~1月11日)に「Go Toトラベル」を全国一斉に停止する方針を発表した。 全国的に医療崩壊を危惧する声も聞かれる中、政権のこうした対応は国民の不信感を呼んでしまったようである。菅首相が「Go Toトラベル」一斉停止を発表した当日夜に5人以上の会食に出席していたことが明らかになった件もあり、12月の各社世論調査では、内閣支持率は40%程度に急落した。 コロナ対策に関する政府への評価が低下する一方で、都道府県知事への期待が上昇しているようである。特に、北海道の鈴木直道知事や大阪府の吉村洋文知事といった若手の首長が、果敢な行動で注目を集めた。ただし、現行の法制度では、感染症対策において国と地方の間の調整がうまくなされる仕組みになっていない。竹中治堅・政策研究大学院大学教授が指摘するように、政府のコロナ対応が混乱した背景には、法制上で国と地方の権限関係が整理されていなかったことがある。 国と都道府県が同じ方向を向いて実効的な対策が取れるよう、両者の権限関係を整理し、円滑な調整がなされる仕組みとすることが望まれる。 コロナ対策に当たっては、専門家の役割も重要である。新型ウイルスによるパンデミック(世界的流行)という前例のない事態に的確に対応するためには、政府の政策決定に専門家の知見を適切に反映させることが不可欠である。現在は新型コロナウイルス感染症対策分科会がその役割を果たすことが期待されているが、専門家がすべてを判断するのは可能でも適当でもない。専門家が徹底的に検討して出した助言を真摯に受け止め、政治の側が責任を持って決定することが何よりも大事である。