愛犬家必読、科学が教えるしつけのカギ、子イヌはいつ何ができるようになるのか
人のジェスチャーを理解する
生後8週ごろ、子イヌは私たちの手ぶりや表情、声の調子、意図を、類人猿の仲間よりうまく読み取るようになる。「彼らはまだ、部屋を横切る途中で眠ってしまうような子イヌです」とウッズ氏は補足する。人が隠したおやつを指さすと、子イヌたちはたいてい見つけることができた。隠した場所の近くに目印を置くなど、子イヌが一度も見たことのないジェスチャーを使っても、結果は同じだった。 生後10週までに、子イヌたちは人の基本的なジェスチャーを理解できるようになり、最初の認知能力を身に付けた。 良いイヌは、実体験よりも進化によって社会的、協調的なコミュニケーションスキルを学ぶ準備ができているのかもしれない。「これほど幼い子イヌがこのような能力を持っているということは、家畜化の過程で身に付いたものであることを示唆しています」と、米ボストン・カレッジでイヌ認知センターと社会的学習研究所の所長を務めるアンジー・ジョンストン氏は述べている。 子イヌと人間の赤ちゃんの認知レベルは同じではないが、イヌと人はとても幼いころから、いくつかの同じスキルの発達が始まる。人の認知発達には、生後9~12カ月頃に革命的な期間があり、この時期の赤ちゃんは視線やジェスチャーを追ったり、他者の心をのぞき見たりし始める。「イヌがこれほど人と似ているのは、ジェスチャーを理解するためだけではありません。認知能力が非常に早く現れる点も、人と同じです」とヘア氏は説明する。
人に助けを求める
解決できない問題に直面したとき、イヌは社会的な問題解決法を用いる。つまり、人に助けを求めるのだ。 人とイヌのアイコンタクトは、両者の関係において極めて重要な要素だ。人の赤ちゃんと見つめ合うと、「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」として知られるオキシトシンが分泌されて絆が強まるが、相手がイヌでも同じことが起きる。 犬の幼稚園では、2週間ごとにわずか5分でも、自分では開けられない容器に入ったおやつを与えられた子イヌは、人とのアイコンタクトの回数が2倍に増えた(心配ご無用:その90秒後には、イヌたちは何があってもおやつをもらうことができる)。