愛犬家必読、科学が教えるしつけのカギ、子イヌはいつ何ができるようになるのか
記憶力や自制心などが発達するタイムラインを解明
米国ノースカロライナ州の“特別な幼稚園”では、子どもたちが遊んだり、交流したり、昼寝をしたり、あるいは座る、じっとしている、教室の中でウンチをしないなどの方法を学んだりしている。 ギャラリー:愛すべき犬たちとの幸せな瞬間 写真28点 この幼稚園はデューク大学の「犬の幼稚園」で、園児は人間ではなくイヌだ。しかし、教室で子イヌたちが取り組むゲームや課題は、人間の子どもの発達を研究するために用いられるものとそれほど違いはない。 イヌにとっても飼い主にとっても、新しいスキルの習得は成犬になるための重要なステップだ。デューク大学のブライアン・ヘア氏とバネッサ・ウッズ氏は、心理学者が子どもの知性をテストする手法を参考に、子イヌのためのカリキュラムをつくった。かわいいけれど、一緒にいると疲れる子イヌたちと数え切れないほどの時間を過ごした結果、イヌの成長中に、主要な認知能力が現れる時期を正確に特定できた。記憶力、自制心などのスキルを身に付けたイヌは、人間とつながり、協力し合う素晴らしい能力を発揮できるようになる。 愛犬家であればご存じの通り、子イヌにはそれぞれの個性がある。「イヌにはさまざまな種類の知性があり、多岐にわたる認知能力の状況も異なります。そして、それらは異なるペースで発達していきます」と進化人類学者のヘア氏は説明する。 魅力的な新刊書『Puppy Kindergarten: The New Science Of Raising a Great Dog(犬の幼稚園:素晴らしいイヌを育てるための新しい科学)』で紹介されている研究は、米国最大の介助犬の育成団体であるケイナイン・コンパニオンズとヘア氏、ウッズ氏の10年間にわたるパートナーシップから始まった。現在、ほとんどの人がペットとして飼いたいと思うのは、介助犬のようなタイプのイヌだ。 「こうした介助犬は100年にわたり、家族に溶け込み、人に対して礼儀正しく接し、カフェでじっと座り、リードにつながれた状態で上手に歩くことを常に求められてきました」と犬の幼稚園の園長を務めるウッズ氏は話す。子イヌの典型的な認知発達のロードマップは、どの個体が介助犬として優れているかを予測するだけでなく、新しい飼い主が素晴らしいイヌを育てる助けにもなる。