大谷翔平はメジャー球宴で二刀流を披露できるのか…クリアすべき問題とは?
MLBは14日(日本時間15日)、コロラド州にあるロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドで7月13日(同14日)に行われるオールスターゲームのファン投票、第1回中間結果を発表し、エンゼルスの大谷翔平(26)が、ア・リーグの指名打者(DH)部門で52万6608票を得てトップに立った。同部門の2位はJ・D・マルティネス(レッドソックス)の29万3757票で約23万票差をつけている。最終投票結果は7月1日に発表され、大谷が選ばれれば、初の球宴出場になるが、全米が注目しているのが、メジャー史上前例を見ない球宴での二刀流が実現するかどうかだ。
DH出場後の投手起用の場合、DH解除の問題が
想定していなかった二刀流スターゆえの問題が浮上した。オールスターのファン投票の中間発表で、DH部門で文句なしの1位になった大谷が、候補が3人に絞られる第2ラウンドを経て、7月1日の最終発表まで、1位を独走するのは間違いないと見られている。問題は、DH部門で選ばれた大谷が投手として登板可能かどうか。 メジャー球宴の投手部門の8人(先発5人、救援3人)は、監督、選手、コーチの投票及びコミッショナー事務局の推薦によって選ばれるためファン投票のように問答無用で選出されるわけではない。 またDHでスタメン出場した大谷が、その後、投手で登板する場合はDHを解除しなければならないという問題が起きる。ファン投票1位で選ばれた選手が、スタメン出場することになっているため、大谷はがファン投票で選ばれた場合、まずDHでスタメン出場することになるが、その後、投手登板した場合、ア・リーグは、大事なDH枠をひとつ潰してしまうことになるのだ。 地元紙のオレンジカウンティ・レジスター紙も「大谷が二刀流を実現するためにはいくつかの問題を解決しなければならない。ただ理論的にはDHと投手の両方でプレーできるかもしれない」という見解を伝える記事の中で、クリアすべき問題を指摘した。 同紙は、「大谷が打って投げれば、野球における宝石展(となるオールスター)で素晴らしい展示となるだろうが、これを実現する前に少しばかり障害がある」とした上で、第一の問題点として「エンゼルスと大谷が(投打での出場に)了承しなければならない」ことを挙げた。 メジャーの球宴は1試合だけだが、レギュラシーズンの過密日程の間をぬって行われるため、できるだけ選手への負担を少なくする配慮がなされており、特に投手の登板には暗黙の制限を設けている。 大谷が、二刀流で出場するとなると、さらに負担が大きくなるためエンゼルスと大谷本人の了承が事前に必要だというわけだ。 同紙は「おそらく大丈夫だろうが、彼の負担に懸念があることから(了承は)確かではない」との見通しを伝えている。 また投手起用についても「大谷がDHでチーム入りした上で投げることになると選ばれた他の投手の登板機会が1つ減ることになる」という問題点を指摘した。前述したが、投手は各リーグ、先発5人、救援3人の8人。ただ、先発投手の登板間隔の関係で選出されても所属チームの意向などで出場しないケースも多々ある。 そして同紙も3つ目の問題点としてDHの解除問題を指摘した。大谷が登板することでDH枠が使えなくなるのは、選出された選手にとってもファンにとっても痛い。 同紙は「大谷がDHでスタメン出場した後に投げることになるとルール面でいくつか修正が必要となるだろう。通常の試合で、DHが登板することになると、DHのポジションは残りの試合で取り消されることになる。大谷(の二刀流)を披露したいというMLBの興味を考えると、彼らは大谷のためにいくつか規則を曲げることを認めそうだ」と、特別ルールが導入される可能性を示唆した。 またもうひとつの注目点が、球宴前日の7月12日に行われるホームランダービーに大谷が選ばれるのか、そして出場を快諾するのかという問題。現在、17本でア・リーグの本塁打争いの3位につける大谷が選ばれる可能性は高いが、同紙は、「大谷がホームランダービーに招待され、その招待を受け入れるかどうかは、オールスターの投票とは完全に別の問題となる」とも指摘している。今後のファン投票の動きも含め、大谷の“球宴二刀流問題”の行方が注目される。