大谷翔平が2度宣告された不可解判定…本当にボークだったのか?
エンゼルスの大谷翔平(26)は11日(日本時間12日)、敵地フェニックスで行われたインターリーグ(交流戦)のダイヤモンドバックス戦に「2番・投手」の“リアル二刀流”で先発したが、大谷自身、日米を通じて初となる1試合2度のボークで、2点を失うという前代未聞の騒動が起きた。2つのボークは、いずれも不可解な判定。専門家の意見をもとに検証してみた。
プレートを外して二塁へ牽制偽投がボーク判定
問題のボークは3-0で迎えた5回に起きた。 「2番・投手」で今季6度目の“リアル二刀流”として先発した大谷は、ここまで4回62球を投げて、毎回の6奪三振、4安打無失点の好投を続けていた。球速低下が不安視されていたが、フォーシームを軸に最速160キロをマーク。3回に右足に自打球を当てたが、影響を感じさせず力投を続けていた。 5回二死一、二塁で、4番打者のエスコバルを迎えた場面。初球を投じる前に大谷は、プレートを外して、体を時計まわりに反転させて二塁を向き、牽制をする動作を見せた。動作だけで実際に投げなかった偽投に対して、マーゼル三塁塁審がボークを宣告した。大谷は苦笑いを浮かべて肩をすくめ、両手を広げて「WHY?」のポーズ。そして何度も首をひねった。 これは、ビデオ検証の申し入れができない項目のプレーのため、マドン監督が、ベンチを出て抗議。審判団が集まり協議したが、結果は覆ることもなく走者は、二、三塁に進塁した。 元阪神、ダイエー、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏に映像を確認してもらったが、「報道を見る限り、審判が説明していないので、なぜボークを取ったか不明だが、おそらくプレートを外すよりも先に上半身が動いたという判断なのだろう。だが、大谷は完全にプレートを外していた。二塁への牽制は、右投手の場合、左足を二塁方向にしっかりと向けていれば、プレートを外さずに偽投してもOKだが、大谷は、一連の牽制動作の中でプレートを外していたのだから、NPBで、こういうケースでボークを取ったのは見たことがない。そこまで厳密に取るなら、ほとんどの投手の二塁牽制はボークになるだろう。今までと、同じ牽制の動作をして突然ボークを宣告された大谷が困惑するのも当然。審判の誤審です」という見解を示した。 ルールブックには、「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」との条項があり、上半身が先に動いて牽制、あるいは偽投をした場合は、打者への投球動作を先にしたとみなされてボークとなる。ちなみに走者のいる一、三塁へはプレートを外さず牽制動作を行う偽投は許されないが、「走者のいる二塁へは、その塁の方向に直接ステップすれば偽投してもよい」とルールブックにある。 それでも大谷はプレートをしっかりと外して偽投をしていた。池田氏が指摘するように一連の牽制動作でプレートを外している場合、ほとんどのケースでボークが宣告されることはない。