「秋は抜け毛が増える」は都市伝説? 一過性じゃなかったらヤバいか…原因を皮膚科専門医が解説
■一過性か? AGAか? ダブルパンチの可能性と受診の目安
――様々な要因はあれど、抜け毛が増えるとAGAではないかと心配になってしまいます。 「AGAはホルモンバランスの乱れによって生じるのですが、ホルモンバランスは朝と夜で違うということは多少あっても、季節によって変わることはありません。なので、秋限定で抜け毛が増えているとしたら、紫外線や他の原因が考えられると思います」 ――一過性の抜け毛と、AGAとを見分ける方法はありますか? 「男性の場合、AGAは、左右の生え際が剃りこまれたように後退したM字型に脱毛したり、頭頂部から薄毛が拡がっていくO型に脱毛するのが特徴です。女性の場合は、全体的に薄毛になり、分け目やつむじの部分で薄毛が目立つ場合が多いとされています。一方、紫外線の影響によるダメージは頭頂部に受けやすく、頭皮が赤くなったり、引きつった感覚があるなどの症状が表れます。毛髪が乾燥し、パサつきや切れ毛が増加するのも紫外線ダメージによるものです。ただ、この2つは両方一緒に生じる場合もあるので、紫外線の影響だからAGAではないとは言い切れません」 ――ダブルパンチの可能性も? 「そうです。紫外線の影響など一過性の抜け毛の場合は適切なケアをすることでまた髪が生えてきますが、AGAは原因をブロックしない限りは元に戻らないので、治療が必要です」 ――一過性のものか、それともAGAなのかは素人では判断が難しそうですが、やはり受診したほうがいいんでしょうか。 「クリニックに行く時間がなくても、オンライン診療でもある程度判断はできますね。前頭部のほうから上がってきているなど、脱毛の様子によってAGAかどうかは見分けがつきますし、いつ頃から抜け毛が気になり始めたかによっても診断はつきます。ただ、抜け毛が気になり始めた場合、AGAかどうか診断されることにこだわる必要はありません。今は予防の薬があって、親の髪が薄いからとか、最近抜け毛が気になり始めたとか気にして、AGAにならないために薬を服用している人も多くいます」 ――予防のために服用しても問題ないのですか? 「予防薬に関しては、副作用のリスクは一般に少なく、気になる場合は、早めの対処で少量から服用しておくのは得策だと思います。進行してしまってから元に戻そうとすると、治療に時間がかかったり、理想の状態に戻らないことがありますからね。かつては薬代も高かったですが、今はだいぶ安くなって手軽に治療を開始できるようになっていると思います」