苦境でもがく女子W杯得点王 「ゴールが欲しい」…守勢のチームで生かしきれない万能の攻撃性【現地発コラム】
攻撃が単調な状況下で存在をいかにアピールするべきか
宮澤は中盤の底でも機能する万能性を持つが、適所としては自ら攻撃的なポジションを挙げる。 「代表活動と同様、トップ下とか左サイドでやりたいというか、自分の持ち味を出せるという意味ではベストだと思う。ドリブルも、スルーパスも、(最終ラインと中盤の)間にも立てるっていうところで、やっぱりそこかなと」 相手のチェルシーでは、浜野まいかがトップ下で先発していた。日本女子代表FWは、勝利をもたらすPK獲得に軽快なワンツーからのスルーパスで絡み、この日のピッチでは貴重だった、ハイクオリティな瞬間を生み出してもいた。 「どこのチームと当たっても誰かしら(日本人が)いて、映像分析でもみんな知っている選手で、凄くいい刺激になっています」 WSLにおける“なでしこ前線”をそう語る宮澤だが、自身が所属するユナイテッドのスタイルは、ボール支配を前提として攻めるチェルシーとは対極に位置するとさえ言える。今季リーグ戦でのボール支配率は平均5割未満。単調になりがちな攻撃は、チェルシーの半数以下で中位レベルの計11得点しかもたらせていない。 その環境で存在をアピールすべき本人は、次のように言っている。 「この風の中であえて蹴った方がいいのか、いや、足もとのほうがいいんじゃないかとか、外から見ていて感じることは多かった。自分が出た時には、常に前、前じゃなくて、1回(パターンを)変えようよとか、そういうところは意識しています。チーム内でも、もう少しつなぎたいよねとか、そういう話し合いはしますし。そういう状況のなかで、本当に自分との勝負というか、自分にも言い聞かせながらやっていきたい」 そして、そのためにも「今は得点、アシストという目に見える結果が欲しい」のだとも。 「まず、ゴールが欲しい。1年目(1得点)よりも取りたいというのはありますけど、出場時間の面でもやっぱり欲しい。チャンピオンズリーグもないですし、リーグ戦とカップ戦しかないなかで、どれだけ目に見える結果を残せるか。プレーはそこまで良くなかった試合でも、点を入れていれば印象が強かったりとか、そういう違いはあると思うので」