赤字の米農家を継いだ、東大出身の25歳「受験数学のように単純じゃなかった」 実感した農業のハードルとは
東京大学工学部を卒業後、実家の山形で農家を今春に継いだ25歳の米利休さん。機械への投資や前年の異常気象による赤字で膨らんだ借金、祖父の体力の限界による廃業の危機という状況で、両親からも猛反対を受けた上での決断でした。 【動画】東大を卒業して…米作りに賭けた理由とは? 「農業は甘くない」「現実を見ろ」などの厳しい声も受けつつも、「甘くないという言葉は、挑戦を諦める理由にはなりません」と米利休さんは、祖父の指導を受けつつ農作業の様子をSNSで公開。経歴に加え、今年は年収15万にしかならないかもという苦境も注目を集めてInstagramのフォロワーは約13万人に(記事執筆時)。 「祖父は昔かたぎの感覚派人間。説明が上手にできなくて、知識や技術を吸収するのも一苦労なんです」と笑って答えてくれた米利休さんから、実際に農作業を行うなかで見えてきたこと、農業を取り巻く課題や、今後めざすことなどを聞きました。
楽しくてやりがいがある!…と同時に農業の大変さも実感
年収の不安を抱えつつも、「とにかく、楽しくて、やりがいがある!農業は素晴らしい仕事だと思います!」と言い切る米利休さん。最初は背の低かった稲が田んぼの中で日ごとに成長していく様子、農作業で身体を動かすことや、たくさんの農家さんと交流できること、また、もともと運転や機械いじりを好んでいたため、トラクター・軽トラ運転・草刈機などの機械を操作することにも楽しさを見出しているそうです。 そんな米作りへの充実感を抱く一方で、早くも農業という仕事の厳しさにも直面。 「今日は草刈りだから、日焼け対策」「草が伸びすぎて今日も草刈り」「じいちゃんのトラクターで作業中、ひたすら草刈り」と草刈りについての発信が複数回。「農作業の多くの時間、草刈りに費やしています。こんなに雑草処理をするんだというのは、就農して初めて知りました」と素直な驚きを口にします。 体力を使う仕事を米利休さんがメインで行い、早く仕事を覚えるために祖父の担当作業も半分ほど担っているため、「体力が求められる作業が多いので、睡眠や食事面からの体調管理が大事です」。午前4時台に起床しなければ、炎天下での農作業を強いられることになるとも。米作りのシーズンは完全な休み(丸一日)を確保できないのも難しいところ。今後、増収をはかるために「田んぼの面積を増やしたら、もっと休みを取りづらくなります」と語ります。 ただ、山形は冬に農作物を作るとコストがかかる地域。何も作らない方が良いため、冬の間に長期の休みを確保できるとのことです。