赤字の米農家を継いだ、東大出身の25歳「受験数学のように単純じゃなかった」 実感した農業のハードルとは
「農家経営には課題がたくさん。農家が頑張るしかない?」
農林水産省の『農業労働力に関する統計』によると、2023年の農業従事者(個人経営体)は116.4万人。2015年の175.7万人から減少の一途をたどっています。また、農業従事者の平均年齢は68.7歳(2023年)。2015年時は67.1歳。高齢化の状態が続いています。 国や自治体は農家の高齢化を解決するため若手の就農者を増やす支援策を打ち出していますが、「就農のハードルが高すぎると感じています。例えば、新規就農者として認定されるまでの手続きが非常に面倒だったり、補助金・助成金・給付金などが簡単に受給できなかったり少なすぎたり。そもそも機械・資材などの経費が高いのです」。 米利休さんは、今は祖父のもとで専従者として農業を行っていますが、来年6月には祖父の事業継承(経営移譲)も兼ねて、認定新規就農者になる予定。しかし、実家にいる限り、世帯所得が上限に達するため、新規就農の給付金が受けられないとのこと。 また、例年通りの卸先に卸すと、米利休さんの今年の農業収入は15万円ですが、ネット販売によって、例年通り卸した場合の予想金額より増えることを予測しています。それでも少ない収入を増やすため、地域密着型の家庭教師の開業も考えていましたが、時間の確保が難しいので、もう少し効率の良い別の収入源を作る準備をしている状況。「農家への手厚い支援を切に願っています」と訴えます。 農家として儲かるためには「米を高く売る」「作付面積を増やす」、この2つの道があると考えていますが、「高く売ろうと思っても、農作業でいっぱいいっぱいで販路を開拓する難易度が高いです。作付面積を増やそうと思っても、周りの農家さんから信頼されなければ簡単には農地を借りられないです」。 こうしたらいいのに、と思うことはあっても実現へのハードルは高く、「個人個人が死ぬ気で頑張ることしか思いつかない状況で…。これは、産業としての崩壊なのではないでしょうか?」。