自民大物18人が“ただの人”に…武田良太氏ら大臣経験者が続々落選、現役閣僚2人は比例復活もかなわず
「厳粛に国民の審判を正面から受けざるを得ない」──。衆院選の落選が確実となり、無念さをにじませながら語ったのは自民党の武田良太元総務相だ。福岡11区から出馬。序盤の優勢から一転、終盤にかけて失速し、日本維新の会の新人・村上知信氏に敗れた。裏金1926万円で比例復活の道を絶たれ、国会を追われることになった。 【写真】泉房穂氏「日本のテレビ局は腐っている」とSNSに吐露 武田氏は2003年の初当選以降、連続7回当選の猛者だ。所属した旧二階派の事務総長として、ボスの二階俊博元幹事長の覚えもめでたく、党総裁選後に副総裁に就き復権した菅義偉元首相にも近い。また、同じ福岡選出の麻生太郎元首相とは長年、地元政界で対立し、「犬猿の仲」で知られる。 裏金事件の逆風をはねのけ、総裁選を機に影響力に陰りがみえる麻生氏に代わり、福岡のドンの座を狙う目算だったが、選挙に落ちれば「ただの人」である。
16年参院選以来、現職閣僚2人も
武田氏に限らず党三役や大臣経験者の大物が逆風にあらがえず、続々と落選した<別表>。現職閣僚でありながら、牧原秀樹法相と小里泰弘農相の2人は比例復活もかなわなかった。国政選での現職閣僚の落選は16年参院選以来だ。 同じく現職閣僚の伊藤忠彦復興相(愛知8)のほか、小選挙区で敗れて比例重複に救われた大臣経験者は永岡桂子元文科相(茨城7)、佐藤勉元総務相(栃木4)、山際大志郎元経済再生相(神奈川18)、伊藤達也元金融相(東京22)、寺田稔元総務相(広島4)、平井卓也元デジタル相(香川1)の7人。 逆に「73歳定年制」で渡辺博道元復興相、松本純元防災相、甘利明元幹事長は比例重複を許されず、落選の憂き目をみた。前回21年の衆院選で現職幹事長だった甘利氏は、区割り変更で新たな選挙区に移ったが、小選挙区で連敗。3年前は選挙終盤に「私は未来を見通せる。その私がいなくなれば大変なことになる。未来は変わっちゃう」と錯乱気味に絶叫していたが、自分の未来は見通せなかったのか。政界引退へ一直線だ。 ◇ ◇ ◇ 死屍累々の結果となった自民の裏金議員たち。関連記事では、その様子と今後について詳報している。