荒れ果てた都市公園を半年でマウンテンバイク拠点に再生 愛好家ら協力 他自治体も視察に
山梨県市川三郷町で大人の背丈ほどの草木が生い茂り、利用者がほとんどおらず、荒れ果てていた約6・2ヘクタールの町立の大型都市計画公園「市川公園」が、わずか半年でキャンプなども楽しめる総合的なマウンテンバイク(MTB)パークに生まれ変わった。同町とともに手がけたのは各地でMTBコースの整備などを行ってきたMTB普及促進団体。新たなレジャー施設の誕生だけでなく、寂れた都市計画公園の再生モデルとして、行政からも注目を集める。 【写真】再生前の荒廃した市川公園。テニスコート全面に草が生い茂る ■「初心者も安心」 「朝9時半のオープン直後に入場したんですけど、まだ帰りたくないっていうですよ」。日曜日の午後3時ごろ、小学4年生の男児が夢中になって、レンタルした電動アシスト機能付きのMTBでコースを猛スピードで下っていくのをうれしそうに母親が見ている。 10月に市川公園は9本のMTBコースを備えた施設としてリニューアルオープンした。約1カ月で1千人超が来場するなど、人気も上々だ。来場者からは「インストラクターが基礎から教えてくれるので初心者や子供も安心だ」といった声が聞かれる。 指定管理者となっている「YAMANASHI MTB山守人」は、これまでも県内では南アルプス市、甲府市などでMTBコースを整備したほか、北海道などでもコース開設に取り組むなど、全国的に見てもトップの実績を持つ。代表の弭間(はずま)亮さんは市川公園を「MTB普及のための新たな拠点とすると同時に、地域の活性化につなげたい」という。紅葉などの県有数の景勝地である四尾連湖(しびれこ)へのサイクリングロードの入り口としても活用できる絶好の地の利もある。 ■テニスコート全面に草 この市川公園は標高300メートルの丘陵をそのまま活用し、眺望スポットの展望台やテニスコート、バレーコートなどの運動施設、中央広場や子供の遊戯施設を備えていた。43年前に整備されたが、利用者の減少や市川三郷町の財政悪化の中、手入れが限定され、ここ20年ほどは遊具が使えないほど草木が生い茂るなど荒廃が進んでいた。テニスコートは草が全面を覆い、審判台があることでコートとわかる状況だった。 今年4月、山守人と同町などが再生に取り掛かった。エンジン式の刈払機などを使って、雑草や通路側に張り出した木の枝などを刈り取っていくと、公園らしさを徐々に回復していった。弭間さんは「少人数だがほぼ毎日工事に入り、コースなどを整備し10月のリニューアルオープンに間に合わせた」と話す。