沖縄独自の着る文化:「かりゆしウェア」が示す郷土愛とアイデンティティ
新たな縫い手を育てることが文化継続のカギ
一方でかりゆしウェアは今、大きな問題に直面している。 「現在、かりゆしウェア製造枚数の8割は沖縄県内で流通しています。ここから県外や海外に市場を広げるにあたって、一番の問題は、この業界に限った話ではありませんが人手不足です。 縫製業に従事される方が年々減ってきていて、高齢の方が抜けた穴をどう補填していくかが課題ですね」 かりゆしウェアは「沖縄県産品であること」と定義付けられており、県外や海外での製造は認められていない。そのため県内の職人を増やすことが喫緊の課題になっている。
「縫い手さんは、10年前は600人ほどいましたが今は200人近くまで減少しています。 この人数で年間30万枚以上のかりゆしウェアを作るのは本当に大変なので、市場規模を維持するためにも新しい方に入ってもらいたいです。 今後は、行政の力を借りて縫製の技術指導を行いたいと考えています。他県に比べて割合が高いと言われるシングルマザーや若年層の非就労者の方々に、新しい技術を身につけて所得や就労先を得るサポートをしていきたいです」
かりゆしウェアは、県民にとっての「夏の正装だから」「みんな着ているから」といった理由を超えて、郷土愛や誇り、自身のアイデンティティを示す重要な文化として根付いている。 この沖縄独自の文化が、新しい世代の風を取り入れながら発展し続けることを願ってやまない。