沖縄独自の着る文化:「かりゆしウェア」が示す郷土愛とアイデンティティ
「まだかりゆしウェアに名前が統一される前は、開襟の形が多く、サイズもメンズ用の大きいものばかりだったんです。そこからビジネスユースが増えたこともあって、メンズ用は身幅がしまったり、ボタンダウンの形状に進化したりしていきました。 デザインでは、観光客の方には派手で遊びのある柄が引き続き人気ですが、県内で働いている方は無地にワンポイントのシンプルなものを選ばれることが多いです。 沖縄で働いている方は5枚から10枚ほどかりゆしウェアを持っているので、最初は総柄のものから入って、だんだんシンプルなものが欲しいよね、という感じで選ばれる方が多いと思います」
着るだけで「沖縄愛」を表せるかりゆしウェア
今では当たり前のように着られるかりゆしウェアだが、沖縄県民にとって「かりゆしウェアを着ること」にはどのような意味があるのだろうか。美濃さんは「多くの県民にとって郷土愛の表れ」だと話してくれた。 「衣服はひと目でその人の社会的属性や好み、個性を判別できるものであることから、『沖縄らしさ』を表現したものであるかりゆしウェアを身に纏うことで、沖縄に対する親和性や愛着を体現できると思います。ひと言で言うと『沖縄愛』の表れ、といった感じでしょうか。 特に行政や金融業界の方にとっては、沖縄県産品を愛用している=県の産業、経済を応援しているという姿勢の表れとなっています。 また、県外で勤務されていても、夏場はオフィスで絶対にかりゆしウェアを着ていると仰る方もいて、かりゆしウェアが沖縄との繋がりを感じるアイテムとも言えるようです。 『着るだけで沖縄』これは我々の目指すかりゆしウェアの世界観のひとつとも言えます」 県外から沖縄へ出張や転勤してきた人は、取引先にスーツで訪問するときとかりゆしウェアで訪問するときとで、先方の反応がまったく違うという経験をすることも少なくないという。 袖を通せばすぐに沖縄愛を示すことができるかりゆしウェアは、県民はもちろん沖縄を愛する県外の人々にとってもなくてはならないものだ。