「お前、おふくろの介護して」容姿端麗モラハラ夫、結婚20年の「決着」
一番お金を使っていたものは…
弁護士立ち会いのもと、夫の荷物は義母の家に運び込むことになりましたが、夫のクローゼットには高価な服が100着以上あり、バッグは40個、靴は50足以上あったそうです。当然、入り切らないのでトランクルームへ。 「私たちに何も買わずに、自分を着飾ることだけに一生懸命になっていたんですよ」と由美さん。夫には貯金がなく、NISAやiDeCoなども全くやっていなかったそうです。 「私にはやっている、と嘘をついていたんですよ。結局、慰謝料は10年後の退職金で支払うことになりました。養育費は下の娘が大学を卒業するまで、月20万円をいただきます。奴はバカだから、ゴネたんですよ。だから、給料を差し押さえてもらいました。素直に払えばいいのに、抵抗したから夫のモラハラが会社にバレてしまいました。来月、地方に飛ばされるみたいです。東京には帰ってこれないでしょうね」 証拠を押さえてから離婚まで1ヵ月でした。この間、由美さんは女性に200万円の慰謝料を請求。女性はそこから逃げ続けたので、会社と夫に浮気がバレてしまいます。 「この女も、地方支店に勤務になり、離婚するみたいです。罪は認めて謝ればいいって、誰かに教わらなかったんですかね?」
認知症の母を放置していた
夫は義母の家に行くと言っていたのに、金だけ渡してほぼ放置をしていたようです。見かねた由美さんが地域包括支援センターに行き相談すると、認知症と右足が不自由なことから要介護3の認定を受けます。 「特別養護老人ホームが40人待ちだと言われました。見捨てるわけにもいかないので、夫の妹に連絡して、引き取ってもらいました。もう離婚して他人なのだから、放置してもいいのですが、そういうわけにもいかなくて。義母は私のことがわからなくなっており“ご親切に、ありがとうございます”と言われて、複雑な心境になりました」 令和の今もなお、妻に生活を押し付けて、「働いている俺は偉い」とばかりに尊大な態度をとる夫は少なくありません。妻の間に長年溜まった怒りのようなものが、介護という引き金によって噴出した調査ともいえました。介護を家族の誰かがやらなければならないという考え方も改める必要がありますし、同時に少子高齢化の中、介護を担うエッセンシャルワーカーへのケア、事業所へのケアも本当に重要だなと改めて思わされます。 由美さんという責任感ある母のもとで、2人の娘は自由に未来を切り開いていくでしょう。彼女たちの将来が明るいことを願わずにはいられませんでした。 調査料金は50万円(5日間・経費別)です。
山村 佳子(探偵事務所代表)